独立資金で必要な金額はいくら?!起業する資金の集め方と節約方法

独立資金で必要な金額はいくら?!起業する資金の集め方と節約方法


脱サラして起業する際の最初の難関となる「独立資金」。

サラリーマンとして会社に入社した時から起業資金を貯めていたという人は多くないでしょうから、
事業資金のことで頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。


そこで、独立資金のスムーズな集め方とその種類、そして起業する費用を節約する方法を解説します。


情報として覚えておいて損はない資金調達と節約方法の知識、そして事業資金を最も節約できる方法を最後にご紹介しますので、
是非ご参考になさってください。

時代と共に変わる開業費用の平均額

起業する人たちは、一体いくらくらいのお金を準備して開業しているのでしょう。

「大体100万円くらい?」

「1000万円ないと会社を回せないのでは?」

いろいろご意見はあるかと思いますが、日本政策金融公庫がまとめた「2018年度新規開業実態調査」に、

「開業費用と資金調達」という興味深いデータがありますのでご紹介します。

≪開業資金の平均値≫

2004年:1,618万円

2005年:1,536万円

2006年:1,486万円

2007年:1,492万円

2008年:1,238万円

2009年:1,288万円

2010年:1,289万円

2011年:1,162万円

2012年:1,269万円

2013年:1,195万円

2014年:1,287万円

2015年:1,205万円

2016年:1,223万円

2017年:1,143万円

2018年:1,062万円

出典:日本政策金融公庫「2018年度新規開業実態調査」

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_181203_1.pdf


(画像)

出所:日本政策金融公庫「2018年度新規開業実態調査」より独自作成

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_181203_1.pdf


ご覧のとおり、年々開業費用は小額化の傾向があり、いよいよ1000万円を下回る勢いだということが分かります。

これは、2006年5月に会社法で、有限会社300万円、株式会社は最低1000万円必要とされていた資本金(最低資本金制度)を、1円でもOKに改正されました。開業資金が下がり始めたのも会社法の改正が一つの要因だと思います。また、ネット社会になったことや起業に対する環境や意識が変化したことも大きな要因と考えられます。

例えば、事務所を構えるにもバーチャルオフィスやレンタルオフィスさえあれば、インターネットを使って自宅で仕事を受注することが可能です。

また、「会社を立ち上げる」というイメージに対して、必ずしも全て新品である必要も常勤の社員を雇用する必要もありません。

上記のデータは、昔と比べて新規独立の垣根は低くなった証左とも言えるものではないでしょうか。

自己資本か他人資本か。事業資金の集め方

独立資金で必要な金額はいくら?!起業する資金の集め方と節約方法2

では会社の設立ということに絞って、どんなことに、どのくらいの事業資金が必要になるか考えてみましょう。

各費用は起業する会社の規模や職種によって差はありますが、会社設立の費用内訳の目安は以下のとおりです。

法人登記(印紙代含む):24万円

社印作成:1万円

事務所費用:50万円

資本金:300万円

備品等:50万円

広告費:30万円

その他:5万円

合計:460万円


ざっと見積もっても500万円近くの資金が必要なことが分かりますが、この資金をどのように調達するかが問題です。

そもそも事業資金というのは「自己資本」と「他人資本」で分けられます。

その点を踏まえて、事業資金の集め方の種類を見てみましょう。

1. 起業に必要な資金を個人で用意する

「自己資本」とは、その名のとおり自分で捻出した資金のことです。

「自分で」とは言っても、少しずつ貯金したお金だけのことを指すのではなく、以下のようなものが自己資本にあたります。

・自分の貯金

・親族等からの援助

・助成金や補助金

・寄付型のクラウドファンディング

簡単に言うと「返す必要のないお金」が自己資本です。

当然、返す必要がないからといって自由に使って良いということにはならず、

事業資金を目的に資金を調達したのに私欲のために使ってしまうと詐欺として訴えられかねませんので注意しましょう。

2. 金融機関の融資や人からの借り入れ

自己資本に対する「他人資本」は、「返す必要のあるお金」のことを指します。

他人資本の具体例としては以下が挙げられます。

・親族等からの借り入れ

・日本政策金融公庫の新創業融資制度

・民間の金融機関からの融資

・融資型のクラウドファンディング

・その他行政等の起業支援制度

以上の中で特におすすめなのは、日本政策金融公庫の新創業融資制度です。

3000万円という大きな額が融資の限度額となっており、保証人や担保なしでの利用が可能です。

ただし、最低限の自己資金として創業額の1/10の額が必須となり、

審査も事業計画に基づいて厳格に行われるため、計画性を持った事業であることをいかにアピールできるかがポイントになります。

イニシャルコストを節約するポイント

ここまでで、一例として「独立資金は500万円必要」ですとか、「自分のお金と第三者のお金で事業資金を調達」ということを解説しました。

ただ正直な感想として、500万円は決して小さな額ではないですし、第三者にお金を融通してもらうというのも気が引けるという方は多いかと思います。


だとするなら、独立時の費用として必要となるイニシャルコストの節約を考えましょう。
会社の設立などは、工夫すれば節約できるポイントが多くあるのです。

独立資金で必要な金額はいくら?!起業する資金の集め方と節約方法3

1. 合同会社

合同会社というのは、株主の意思決定に左右されない、出資者と経営者が同一の法人形態です。

利益配分や定款自治により経営の自由度が高いため、ここ10年ほどの間に合同会社の数は約8倍もの増加となっています。

この合同会社、実は「設立費用が安い」という大きなメリットがあります。

株式会社は「登録免許税15万円」「定款認証5万円」がかかりますが、合同会社なら「登録免許税6万円」「定款認証で0円」の最低6万円での設立が可能です。

起業する職種や将来的なビジョンとして合同会社でも問題ないということなら、一つの選択肢として考えても良いでしょう。

また、事業が拡大していく中で合同会社から株式会社へ変更することも可能です。


2. 電子定款

合同会社の設立費用が安いということにも関連しますが、法人登記の際に必要な定款はPDFなどによる「電子定款」にすると、印紙代が不要になります。

前述の会社の設立費用が最低6万円というのは、この「合同会社+電子定款」という組み合わせで考えたときのものということです。


3. 事務所

法人登記以外のイニシャルコストで高くなりがちなのが「事務所費用」です。

事務所1室を借りるにしても、最低でも月額賃料の6か月分以上は必要になるため事業資金を圧迫させる一要因になります。

もし、必ずしも事務所を構える必要がないのなら、無理に不動産屋さんを回るよりも、

バーチャルオフィスを活用して住所だけ借りるとか、実家の一部を借りるなどして費用を抑える工夫を考えましょう


4. 中古品や無料サービス

そして、以外と軽視されがちなのが、会社設立にあたっての設備や備品に関する費用です。

特に最近では、自社HPを持っていないと始まらないというほどオウンドメディアの重要性が叫ばれていますが、

自社サイト立ち上げには最低でも数万円、高いと100万円を優に超えます。

また、デスク、PC、コピー機、その他備品なども合計すると簡単に数十万円を超えます。

これらを節約するなら、まず自社サイトは利用が簡単なワードプレスなどの無料CMSを使う、

その他設備や備品などは中古品を購入するなどの工夫をして、独立当初から派手にお金を消費しないように心がけましょう。


4. 最近多いバーチャルオフィスを活用した創業



定款や法人形態の別による設立費用は最低6万円ということでフィックスですので、これ以上安くできません。

設備や備品も耐久性や性能を考慮して、常に安い中古品ということを意識しておくこと以外に方法はありません。

問題は「事務所をどうするか」です。

そこで最後に、先ほどご紹介した会社の設立費用を節約する方法のうち、設立費用が大幅に削減できるバーチャルオフィスについて解説します。


前章では「バーチャルオフィス」「実家を事務所にする」という方法を事務所の例として挙げましたが、他にも「自宅を事務所にする」という方法があります。

ただ、法人登記をすると住所は誰でも調べられるため、プライバシーという点で実家や自宅を事務所として登記するのは避けるべきです。

だとするなら、残る選択肢はバーチャルオフィスですが、これが最も事業資金の節約に寄与するものと言えます。


バーチャルオフィスは、言い換えれば「住所貸しサービス」です。

もう少し具体的なメリットを見てみましょう。


・高額な敷金や礼金がかからない

・月数千円から利用可能

・バーチャルオフィスの住所で会社登記できる

・都心の住所を使えるため企業のイメージアップに寄与する

・各オプションが豊富


独立して会社を立ち上げるとなると、事務所費用は最も高くなるものです。

それに対しバーチャルオフィスなら月数千円で利用することができるため、

イニシャルコストやランニングコストに頭を悩ませる必要がなくなります。


また、オプションとして必要な時だけ使える機材や会議室、法人登記や税理士による記帳の代行、中には給与計算等を含めた労務管理まで代行してくれるサービスを提供してくれるなど、これなら初めての独立でも経営に集中することができます。


日本のビジネスは、ここ数年でめまぐるしく変化し、バーチャルオフィスのような起業サポートも充実してきています。

起業時のクリエイティヴな発想を継続させるために独立資金で頭を悩ませることのないよう、最初の資金繰りをいかにスムーズ、且つ確実に調達するかが非常に大事であることは覚えておきましょう。

執筆者情報

株式会社アントレサポート 鈴木■

創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。
バーチャルオフィス・レンタルサロンなど、さまざまな事業展開をしている。

執筆日:2019年7月24日