確定申告の経理代行・記帳代行とは?個人事業主でも利用したいサービス内容と費用
個人事業主を始めとして、事業をされている方は「経理代行」「記帳代行」という言葉を一度くらい目にしたことがあるでしょう。
もしかすると、事務作業や確定申告が苦手で実際に経理代行や記帳代行の依頼を検討したことのある方もいらっしゃるかもしれません。
インキュベーション施設で行う起業相談でも経理、税務などの質問が多いようです。個人事業主、起業家とも気になるところのようです。
しかしそもそも「経理代行」と「記帳代行」の違いをご存知でしょうか。
簡単に言えば、両者の違いは「業務の範囲」です。もちろんサービスを利用した際の費用も違います。
この記事では確定申告を前提にした「経理代行」と「記帳代行」の違いを解説。
具体的な費用目安などもご説明しますので、是非ご参考になさってください。
確定申告で慌てないために検討したい経理代行・記帳代行とは?
最初に「経理代行とは?」「記帳代行とは?」について簡単にご説明します。
経理代行
経理代行とは、帳簿作成も含めたお金の出入りを管理してもらうサービスです。
領収書や請求書の発行と整理、振込業務、決算書や確定申告の業務など、個人事業主を始めとした事業における幅広いお金の管理を依頼できます。
記帳代行
記帳代行とは、確定申告に必要な帳簿の作成を代わりに行ってもらうサービスです。
領収書や請求書などの書類を個人や事業主などの顧客から預かり、日々の取引を仕訳ける記帳作業を代行します。
「記帳」といっても、昔のようにノートなどの紙の帳簿を付けるわけではありません。
パソコンの会計ソフト、クラウドの会計ソフトが主流になっており、
提出された伝票類の内容を打ち込み、経費などを正しく仕訳けていく作業がメインです。
対する「経理」とは、会計全般の業務を指します。つまり経理の業務の中に記帳も含まれており、
あなたが受け取っている給与も経理により計算されているのです。
特に個人事業主や会社を立ち上げて間もない法人は、記帳や経理が苦手という方が多くいます。
記帳や経理の作業は量が多いため、作業を溜め込んでしまうと確定申告に間に合わないといった最悪の自体になりかねません。
個人の場合は毎年3月15日までにします。法人の場合は決算月から2ヶ月以内にします。
2事業年度連続して期限内に申告書の提出が遅れた場合青色申告の承認が取り消されます。期限を守って申告しましょう。
本来の仕事に打ち込むことができ、慌てずに確定申告に臨めるのは記帳代行や経理代行の大きなメリットと言えるでしょう。
個人事業主の経理処理は法人設立時に事業の引継ぎになる為、法人設立後に金融機関経由で信用保証会社の保証を申請する時に個人事業主の時の帳簿を求められる場合があります。
確定申告で利用する経理代行と記帳代行のサービス内容と費用
「経理代行は事業におけるお金を全般的に管理する」
「記帳代行は記帳だけ」
経理代行と記帳代行の違いは上記のように捉えていただいても間違いではありません。
ただ経理代行や記帳代行のサービスは、もう少し作業内容が細かく分かれています。
より分かりやすく理解するために、もう少し詳しく記帳代行や経理代行のサービス内容を見てみましょう。
経理代行 | 記帳代行 | |
---|---|---|
業務 | ・領収書や請求書等の発行、管理 ・帳簿の作成、給与計算 ・振込、支払い ・源泉徴収や各種税金の計算 ・白色、青色申告書や決算書の作成 ・税務サポートやレポートの発行 |
・預かった書類の内容を会計ソフトに入力 ・仕訳帳、現金出納帳、預金出納帳などの作成 ・仕訳帳や総勘定元帳の作成 ・貸借対照表、損益計算書の作成 ・各帳簿の整理と顧客への送付 |
料金 | ・経理代行(基本的なサービスのみ)/3万円~ ・決算書作成や申告業務/5万円~ |
・1仕訳40円前後~(30仕訳以上からが主) ・その他オプション料金/数千円~ |
経理代行サービスによっては、税務の相談や申告書、決算書の作成がパックになっているケースもあります。
当然、代理で行うのは税理士の専管事項になります。
事業や会社が拡大して自分だけでは処理しきれないなど不安が多いということなら、
前向きに依頼を検討したほうが良いでしょう。
また記帳代行のサービスは、経理代行との線引きが曖昧です。
また、記帳代行は民間企業で行うことが出来ます。格安で記帳代行を行っているところは民間が多いです。
パートや派遣などを雇用してコストを落としている場合があり、作業への信頼性に不安があります。
記帳代行の依頼をご検討されるなら民間企業か税理士、税理士法人なのかご確認ください。
両サービスに明確な定義はないため、記帳代行と経理業務の一部がセットだったり、
逆に必要最低限の業務しか行わなかったりするケースもあります。
場合によっては自分が想定していた書類が作成されず、確定申告で慌てるなんて可能性も否めません。
個人事業主と会社の経営者、白色申告と青色申告で記帳や経理の業務範囲は違います。
各サービスに依頼する前に相談も兼ねたお問い合わせをオススメします。
確定申告の経理代行と記帳代行を依頼したあとの流れ
では具体的に確定申告に向けて経理代行や記帳代行の依頼は、どんな流れで進むのか大まかに見てみましょう。
各代行サービスを提供する会社により流れは違いますので、実際の流れは依頼を検討する会社にお問い合わせされることをオススメします。
記帳だけを依頼するのか、それとも経理全般を依頼するのかによって上図のフローや業務内容は変わります。
まずは記帳代行が基本にあって、それ以外の作業を経理代行として随時依頼していくというイメージで考えていただければ良いでしょう。
個人事業主の確定申告は「自分でやる」「経理代行・記帳代行に依頼」のどっちが良い?
さて、記帳や経理は「自分でやる」のと「経理代行・記帳代行」のどちらにすべきでしょうか。
個人事業主の確定申告を基に、自分で記帳や経理をやる場合のメリット・デメリットを見てみましょう。
記帳や経理を自分でやるメリット | 記帳や経理を自分でやるデメリット |
---|---|
・会計や税金の知識が付く ・代行を依頼する費用を節約できる ・事業や会社の状態を常に把握できる |
・事業内容によって作業量が膨大になる ・記帳や計算の間違いを見落とす可能性がある ・本業に割ける時間が少なくなる |
経理代行や記帳代行を依頼した場合、上表のメリット・デメリットの逆の効果があると考えれば良いでしょう。
自分でやるか経理代行・記帳代行のどちらにするかの判断基準は、いざ確定申告の時期に全てを一気にやろうとした時にどのくらいの時間がかかりそうかで判断してみましょう。
書類の作成から所得税の納税までを考え、費用や時間というコストを天秤にかけてみるのです。
また、インボイス制度の導入など税法は都度変わっています。自分でやろうとした場合には税法をウォッチし新しい制度を理解して行う必要があり、税法を理解して最適な確定申告を行うことは難しいと思います。何らかの申告漏れ、間違いによって多く税金を払ってしまった、または、追徴課税や税務調査などと余計なコストが掛かることもあります。
昨今はフリーランスや副業を始める方も増えていますが、確定申告の時期になってから各書類を作成する人も多く見受けられます。そんな方々の経験談を見る限り、確定申告完了までに早くて1日、長くて3~4日かかっているようです。
つまり確定申告にかかる時間を日給換算してみて、最終的に自分で確定申告するのと経理代行や記帳代行を依頼するのとではどちらが得かという点が大事なのです。また、事業が拡大し、複雑化した場合に事業の片手間に確定申告を行うことが出来るのでしょうか。煩雑になり、結果、最適な確定申告を行わないと結果税金を多く払うことになり損をします。
もちろん毎月きちんと記帳する習慣をつけるに越したことはありませんし、確定申告は苦手だけど相談はしたいという人のために税務署が公認会計士による相談窓口を開設していたりします。
もっと本業で稼ぐために事務関連を自分の手から離したいという方は、代行サービスがオススメ。ただ記帳代行や経理代行は無料ではなく、依頼する売上規模や記帳数、依頼内容によって費用が発生します。
中には経理業務の全部を依頼できる確定申告丸投げパックといったものもありますが、追加費用の発生など内容について代行を依頼する前にしっかり料金は確認しておきましょう。
単純にどちらが得かでシンプルに考え、本業が有利に動きそうなら経理代行や記帳代行の依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
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