バーチャルオフィスのトラブルや損害を回避!
確認すべき5つのポイント
スタートアップやベンチャーなど、立ち上げたばかりの法人に非常に有用な「バーチャルオフィス」。
手間や費用をかけずにオフィス契約ができるため、その存在価値は以前よりもグッと高くなりました。
ただ便利であるが故、トラブルや損害を被るケースもあります。
事業を立ち上げたばかりではトラブルや損害に対する耐性がないため、一大事になりかねません。
今回は、バーチャルオフィスのトラブルや損害を回避する方法を解説。
事前に確認しておくべき大事な5つのポイントもご紹介しますので、是非ご参考になさってください。
バーチャルオフィスのリスクと言われるトラブルや損害
バーチャルオフィスの利用は、個人事業主から法人成りする際に自宅を明かさずに会社登記でき、オフィス賃料なども削減できるのがメリット。利用できる住所も都心部であることが多いため、企業のブランド力にも貢献します。
ただトラブルやリスクは皆無ではなく、バーチャルオフィスならではのトラブルや損害事例は多く存在します。
主なトラブルや損害事例、リスクをご覧ください。
- ●バーチャルオフィスを運営する会社が倒産、または解散してしまう
- ●バーチャルオフィスとして利用した住所が過去に犯罪などで使われたことがある
- ●バーチャルオフィスが一方的にサービス利用料金の値上げや利用規約を変更する
- ●バーチャルオフィスで利用した住所のビルが古かったり見た目が悪すぎたりする
- ●バーチャルオフィスのスタッフによる来訪客への対応が悪く信頼を損なう
- ●バーチャルオフィスの運営会社の事務所で明らかに1社しか入っていない事務所
実際に業務を行う場所を提供するサービスではないため、バーチャルオフィスは「住所貸し」と言い換えられることもあります。住所貸しは比較的簡単に行える事業のため、未だ怪しい格安のバーチャルオフィスなどで上記のようなトラブルや苦情が報告されています。
バーチャルオフィスでよくあるトラブルと損害事例
ではもう少し具体的なトラブルや損害事例を見てみましょう。
以下は法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」で見られる、バーチャルオフィスに関連するよくある事例です。
バーチャルオフィスの運営会社閉鎖後も支払いを求められた事例
【相談内容】
利用者はバーチャルオフィスの会社が解散したため、当然、契約も解除であると認識して解約や更新の手続きを行わなかったとのこと。しかしバーチャルオフィスの元運営者より次年度分の支払いを求められており、どう対応すべきか相談しています。
【確認すべき事項】
上記のケースだと誰しも「会社が無くなるなら契約も解除だ」と思われるかもしれません。ただ、その会社が解散後の対応を通知していなまま更新月を迎えたりすると、契約書の内容が優先される可能性があります。つまり「契約は自動更新である」と契約書に記載されていたら、後日支払いを求められるかもしれないのです。
あまり多いケースではありませんが、バーチャルオフィスの運営会社が倒産などしたら早めに事後対応を確認しましょう。
顧客の郵便物を別の顧客に渡してしまっていた事例
【相談内容】
バーチャルオフィスの代理店が、サービス利用者宛ての郵便物を別の第三者に誤って渡してしまったという事例。
幸い、サービス利用者に実害はありませんでした。ただ時間や手間、精神的苦痛などの理由で損害賠償を請求したいところですが、実際にはそう簡単ではないようです。
【確認すべき事項】
まずバーチャルオフィスが行う郵便の受け渡しに関するサービスについて、法的な定めや一定の判断基準というのはありません。ただし犯罪収益移転防止法において、郵便物受取サービスや電話転送業者に該当するバーチャルオフィスは、郵便物引き渡しの前に本人確認が義務としています。
つまり本人確認をせずに郵便物の受け渡しをしている業者は避けるべきであり、逆に本人確認さえ行っていれば郵便物を誤って受け渡ししてしまうのも防げたと言えるでしょう。
参考:弁護士ドットコム 実質損害ゼロのミスなのに契約解除の上、損害賠償請求。こんなのアリ?
バーチャルオフィス解約後も住所を使用してしまっていた事例
【相談内容】
バーチャルオフィスを解約したあと、自身が運営者であるWEBページから住所を削除できていなかったとのこと。そのため解約日から8ヶ月分の使用料を請求されているという事案です。
【確認すべき事項】
この事例の判断は難しいところです。
バーチャルオフィス側が住所を無断使用されていると知っていながら放置していたなら支払い義務はない、または8か月分より少ない期間での支払で済む可能性はあります。ただ元々の契約書に損害金やその他特約に関する不利な記載があれば、全額支払いという可能性も否めません。
まずは契約書の内容と照らし合わせて弁護士などの専門家に相談する必要があります。
参考:弁護士ドットコム バーチャルオフィスの解約後の督促状に関して
一方的に法人契約へ変更されてサービス料を値上げされた事例
【相談内容】
企業と代理店契約を結んで、個人ではなく企業名でバーチャルオフィスを利用していた相談者。バーチャルオフィスの契約当初は問題なかったものの、後日「法人を名乗る限りは法人契約でのサービス料が必要」と言われたとのこと。相談者は立腹しており、契約を解除したいが可能かという相談です。
【確認すべき事項】
既に契約を結んでバーチャルオフィスを利用していますが、先方からの賃上げ要求ですから、承服できないと伝えて解約は可能でしょう。
ただし注意しなければいけない点もあります。契約書に「解約予告期間」や「規約に違反した際の損害金」といった、解約に関する条項が記載されているケースがあるのです。立腹して即日解約を行えば損害金の支払いを求められる可能性もあるため、契約書をしっかり確認しなければなりません。
参考:弁護士ドットコム 先方からの一方的な月額の増額の申し入れについて
バーチャルオフィスの利用前に確認すべき「契約書」
様々な事例がありましたが、概ねどの事例でも共通しているのが「契約書」の中身です。
バーチャルオフィスの契約書や利用規約は、会社により様々。そのため何をチェックすべきとは断言しづらいところですが、前章の事例も踏まえると主に以下を確認しておくべきでしょう。
- ●利用規約が変更されたときの通知方法や何をもって承諾とみなされるかについて
- ●利用契約解除後も誤って住所を記載してしまっていた際の対応について
- ●バーチャルオフィスのサービスにより被った損害への対応や免責事項について
- ●利用契約解約の予告期間や契約中の解約における損害金の有無について
- ●その他個別に取り決めた特約の内容
あまりにも顧客側に不利な内容でない限り、基本的には法律が優先されます。ただ本来は、契約書や利用規約は全て目を通すべきです。
例えばバーチャルオフィスの運営会社によっては、利用規約の変更がメール一つで完了とする発信主義のケースもあります。迷惑メール拒否などで受け取れなくても、通知が到達したとみなすと利用規約に書いているケースなどもあるのです。
トラブルや損害の起きにくいバーチャルオフィスの選び方と5つのポイント
ではどんなバーチャルオフィスなら、前述までのトラブルや損害を避けられるでしょうか。
当然、一概に「こういう会社」とは申し上げられませんが、会社情報やサービス内容から総合的に信頼性を見極めるのがポイントです。
- 1.創業以来、どのくらいバーチャルオフィス事業を行っている会社か
- 2.バーチャルオフィスの運営会社の本業は何か
- 3.サービス利用契約の前に本人確認や審査をしっかり行っているか
- 4.契約条項や利用規約があまりに自社有利な内容になっていないか
- 5.バーチャルオフィスの運営会社へ問い合わせたり来訪したりして対応の良し悪しを見る
バーチャルオフィスを見極めるのに最初に行うべきは、「会社概要」が細かく記載されているかを確認すること。
会社名や代表者名、所在地、電話番号は当然記載されていなければなりません。ただ会社概要に何を記載するかというルールは特にないため、実態が良く分からない会社があるのも事実であり、本業をしっかり確認して長く続きそうな運営会社を選んでください。
よって、上記以外にもせめて以下5つの記載があるかは確認しましょう。
- ●設立年度
- ●事業内容
- ●取引銀行
- ●所属する協会や団体
- ●登録している免許や制度
バーチャルオフィスを事業としている会社は、レンタルオフィスや貸し会議室、一般的なオフィス賃貸をしている会社も多くあります。そこで不動産協会や宅建免許を持っていると非常に安心です。特に宅建免許は制度や規制が厳しいため、悪質な業者でないことの証しとも言えます。
ぜひ今回ご紹介した内容をチェックし、安心して便利に使えるバーチャルオフィスを探してみましょう!
アントレサポートのバーチャルオフィス
渋谷区(渋谷駅)と千代田区(四ツ谷駅)(秋葉原)、港区(虎の門)にレンタルオフィスを持つアントレサポートでは、バーチャルオフィスサービスも提供しています。
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執筆者情報
■株式会社アントレサポート 鈴木■
創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。 |
執筆日:202年5月29日