クラウドファンディングで起業!
メリットデメリットと具体的な流れ
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達するサービス。
寄付型や商品購入型、株式型に貸付型など、各業界に合わせたさまざまな方法や種類があります。
今では多くの起業家がクラウドファンディングを利用するようになり、
クラウドファンディングを活用して起業資金を調達するケースもよく目にするようになりました。
ただクラウドファンディングは、誰でも資金調達できる魔法の杖ではありません。
メリットもあればデメリットもあり、当然リスクがないわけではないのです。
この記事では起業するのにクラウドファンディングを活用する、メリットデメリット、そして具体的な流れを解説します。
実際の成功例や失敗例を踏まえつつ、クラウドファンディングを成功させるコツを見てみましょう。
クラウドファンディングを活用して起業した人の成功例・失敗例
これまでクラウドファンディングの成功例や失敗例は多く語られていますが、なかでも興味深い成功例と失敗例をご紹介します。
【成功例】倒産直前だった会社がクラウドファンディングでチェーン展開するまでに成長
サバ料理の専門店「SABAR」をご存じの方も多いのではないでしょうか。
社長である右田孝宣氏は、トロサバ寿司店「鯖や」を大阪にオープン。しかし資金繰りが悪化し、倒産の危機に追い込まれていました。
商工会議所の担当者から勧められ、サバ料理専門店の出店費用としてクラウドファンディングを活用。
現在までにオープンした店舗のうち、4店舗分として約3,700万円をクラウドファンディングで資金調達しました。
今ではチェーン店も含めて20店舗以上を出店するまでに成長しています。
以下は、右田社長が語っているクラウドファンディングで成功する秘訣です。
- ・サバへの情熱を示せるよう文章の書き方にこだわった
- ・クラウドファンディングは資金調達だけではなく、ファンの獲得という目的もあった
- ・支援者へのリターンは割引券ではなく、原価と送料負担で済む自社の商品が良い
【失敗例】クラウドファンディングで9,000万円の資金を調達するも失敗
指輪の形をしたデバイス「Ring」を開発した株式会社ログバー。
クラウドファンディングKickstarterで、開発費用88万ドル(約9,000万円)の資金調達に成功したベンチャー企業です。
当時は指輪をはめた指でジェスチャーするだけでスマートフォンの操作ができたり、家電の操作ができたりするという斬新さで大きな話題になりました。
しかし操作性や機能性、デザインの変更を余儀なくされ、商品の出荷に遅延が発生。結果、Ringは販売終了となりました。
その後、株式会社ログバーはスティック型の翻訳機「ili(イリー)」という製品の開発に移行。
会社としては精力的に事業が続けられているため失敗事例とは少し違いますが、代表である吉田卓郎氏は次のように語っています。
「チームの経験が浅かったため、ちょっとした変更が商品出荷のスケジュールに大きく影響するのを理解できていなかった。」
クラウドファンディングで起業するメリット・デメリット
クラウドファンディングでの起業には、メリットデメリット、そしてクラウドファンディングで資金調達して起業するリスクを把握する必要があります。
メリットデメリット、そしてリスクを把握しているかどうかにより、起業の成否が分かれると言っても過言ではないためです。
- 【クラウドファンディングで起業するメリット】
- ●資金調達だけでなくマーケティングとしても活用できる
- ●調達資金のリターンは自由に設定できる
- ●経歴や実績がなくても資金調達が可能
- 【クラウドファンディングで起業するデメリット】
- ●資金調達できるとは限らず時間もかかる
- ●アイディアが盗まれる可能性がある
- ●支援者に対するリターンや返金などの対応
最初にご紹介した事例では、どちらも資金調達に成功しています。
しかし支援者へのリターンの部分で「事業を続けられたか(拡大できたか)」という点で違いが生まれ、最終的な成否が分かれたと言えるでしょう。
クラウドファンディングの起業は、事前にメリットデメリット、そしてリスクを把握しているかどうかによって結果が大きく分かれる可能性を秘めているのです。
クラウドファンディングで起業するまでの流れ
そもそも起業するためにクラウドファンディングで資金調達する流れは、おおむね決まっています。
だからこそクラウドファンディングを活用する前にメリットデメリット、そしてリスクを把握することが重要なのです。
- 【クラウドファンディングで起業する流れ】
- 1. 目標金額の決定
- 2. プラットフォームに申請
- 3. プロジェクトの立ち上げ
- 4. SNSなどを活用して宣伝
- 5. 資金調達できたら事業を開始
- 6. 支援者へのリターン
起業までの流れが把握できていれば、「1. 目標金額の決定」の時点で細かなプランを立てられます。
単に「この事業を開始するのにいくら必要」ということだけでなく、先々で想定されるメリットデメリット、そしてリスクを踏まえて計画できるのです。
メリットやデメリット、リスクを踏まえたクラウドファンディングの流れを計画できれば、途中の計画変更によりプロジェクトが頓挫する確率を低くできます。
クラウドファンディングで起業資金の調達を成功させる4つのコツ
クラウドファンディングは成功率30%がおおよその相場であり、スタートダッシュとラストスパートがもっとも大事な期間と言われています。
クラウドファンディングで成功した人たちの多くがブログやインタビューなどで秘訣を語っており、
「果たしてどれが正解か?」と思った方も多いのではないでしょうか。
ただ実はどの記事で紹介されているコツも共通する部分があり、大きく4つのコツに集約できます。
1. 写真や文章にストーリー性を持たせて共感を得る
2. まめに宣伝を行いながら支援数などの途中経過を報告する
3. プロジェクトの将来性や返金についてなど支援者が不安になる点は事前に解消する
4. リターンは実行者の負担にならず、支援者にとって魅力的なものにする
金融機関からの融資が受けられなさそうだからといって、安易にクラウドファンディング頼るのでは成功する可能性も低くなります。
クラウドファンディングは計画性や本気度、情熱が試され、ある意味では起業と同じだけのパワーを要するためです。
ただクラウドファンディングは「誰でも資金調達にチャレンジでき、ファンの獲得にも貢献する」のが大きなメリット。
普通では得られないメリットがあるクラウドファンディングは、起業するための立派なツールであるのは間違いありません。
執筆者情報
■株式会社アントレサポート 鈴木■
創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。 |