東京都の企業こそサテライトオフィス!
テレワークのメリットと効果



すっかり珍しくなくなったサテライトオフィスという言葉。サテライトオフィスとは、本社やメインとなるオフィス以外に小型のオフィスを構えて柔軟な働き方を実現するオフィス形態。生産性の向上や業務の効率化も図ることができます。

ただ、言葉は知っていたとしても、導入方法や何を検討すべきか分からないという方が多いのではないでしょうか。

この記事では、なぜサテライトオフィスが注目されているのか、そして具体的な効果や導入方法はどういったものなのかをわかりやすく解説します。

最後にサテライトオフィスの導入で活用できる助成金もご紹介しますので、ぜひご参考になさってください。




サテライトオフィスを東京都の企業が検討すべき理由


サテライトオフィスやテレワークを活用した柔軟な働き方は、政府が推進する働き方改革においても重要な位置づけにあります。サテライトオフィスなどの新しいオフィス形態は、企業にも働く人にもメリットが多いためです。

もちろんデメリットもあります。サテライトオフィスのメリットデメリットを具体的に見てみましょう。


【サテライトオフィスのメリット】
  • ・通勤や出張、支社間の移動などの時間コストを削減できる
  • ・大規模オフィスが省スペース化できるためコスト削減につながる
  • ・東京から離れているエリアに住む人など、遠方にいる優秀な人材を確保できる
  • ・エリアにとらわれない新規顧客の開拓が可能になる
  • ・地震や台風などの災害、風邪やインフルエンザの蔓延といった非常事態があっても事業を継続できる
  • ・社員のワークライフ・バランスが向上し、モチベーションアップや離職防止につながる
  • ・地方創生に貢献する企業としてイメージアップにつながる

【サテライトオフィスのデメリット】
  • ・社内情報が分散するためセキュリティの確保が課題になる
  • ・会議招集がしづらいため円滑な情報伝達やコミュニケーションが難しい
  • ・社員の時間管理やマネジメントがしづらくなりサボりなどの可能性がある
  • ・メインのオフィスに出勤しないため会社の一員という意識が希薄になる可能性
  • ・サテライトオフィスの導入、インフラの整備でコストがかかる
  • ・対面での会話や書面の確認が必要な会議や研修などがしづらい

サテライトオフィスは、事業規模を維持しながらオフィスコストを削減できるのが最大のメリット。

特に東京都にある企業はオフィス賃料に多額のコストをかけています。従業員が増えて都内に支社や支店を作れば、オフィスコストは高くなるばかり。そのため昨今は、社外の貸し会議室やレンタルオフィスを活用するケースも少なくありません。

社内のマネジメントやセキュリティ面などで課題はありますが、サテライトオフィスの導入に成功すれば、「人・モノ・カネ」という企業に必要なリソースを今まで以上に活かすことができるのです。



サテライトオフィス導入によるコスト削減効果


さて、あなたはサテライトオフィスの導入により「どのくらいコスト削減できるか」という点が気になるのではないでしょうか。

会社経営における人件費は、一人あたり給与の2~3倍かかるというのが一般論。オフィススペースやOA機器、デスク、福利厚生などが必要なため、給与30万円で人を雇用すると1人あたり最大90万円のコストをかけなければならないのです。

サテライトオフィスなら、人件費を含めたさまざまな経費を抑えられるためコスト削減に貢献します。

一概にどのくらいとは表しづらいものの、政府が行っている「テレワーク・デイズ」という取り組みから実際のコスト削減事例を見てみましょう。


(テレワークによるコスト削減の例を示す図)


テレワークによるコスト削減の例を示す図


引用:総務省 テレワーク・デイズ2019実施結果

https://www.soumu.go.jp/main_content/000667934.pdf



【その他企業ごとの個別事例】

  • ・在宅勤務者の80%が残業ゼロを達成
  • ・事務用紙が1日50枚から20枚に大幅削減
  • ・1日あたりの交通費の54.3%を削減
  • ・1日の消費電力が5~20%低減
  • ・会議室の利用が30%減少

参考:テレワーク・デイズ2019実践事例

https://teleworkdays.jp/topics/topics_191119_01.html



働き方改革において、労働時間の見直しは重要項目です。残業時間が約45%削減できるのは、サテライトオフィス導入による大きなメリットと言えるでしょう。

また会議がしづらくなるデメリットはあるものの、会議室の使用を約43%削減できたという結果も見逃せません。オフィススペースの有効活用や省スペース化が実現でき、会社にもサラリーマンにも目の上のたんこぶである無駄な会議を減らす効果もあります。

サテライトオフィスの導入はコスト削減に加え、生産性の向上という相乗効果を生むと言って良いでしょう。



サテライトオフィスの導入方法と実例


ではサテライトオフィスは具体的にどのように導入すればよいのでしょうか。

企業のサテライトオフィス導入では、最初に決めなければいけない大事なポイントがあります。


  • ・サテライトオフィス勤務の対象者と地域を決める
  • ・どの形態のサテライトオフィスにするか決める
  • ・サテライトオフィス勤務者の労務管理の方法を決める
  • ・サテライトオフィス制度やルールの構築
  • ・サテライトオフィス勤務時のコミュニケーション方法
  • ・就業環境や通信インフラ、セキュリティ、社内システムの整備方法

サテライトオフィスは対面によるコミュニケーションがなくなります。そのため社内のサテライトオフィス制度や就業環境、労務管理などにおいて、専用の社内システムの導入や社員による自律意識が大変重要です。

実際にサテライトオフィスを導入した企業の事例も見てみましょう。



エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ

一部の職場で在宅勤務の取り組みを開始。端末・認証などの情報漏えいセキュリティを強化して、在宅勤務制度を全社導入。また移動時間やすきま時間の活用による生産性を向上させるため、オフィスのフリーアドレス化やサテライトオフィスの設置、社内システムを改善してきた。

「働き方改革及びワークライフ・バランスへの先駆的な取組みを行う企業」として東京モデル事業にも選定され、場所やデバイスにとらわれない柔軟なワークスタイルの推進を図っている。


損害保険ジャパン日本興亜株式会社

2012年よりテレワーク制度を導入し、テレワークの効果や課題の洗い出しを行ってきた。

執務スペースや制度の対象者、制度自体の柔軟性を高め、約2万6,000人の全従業員がテレワークを利用できる体制を構築。

2016年以降は外出先でのモバイルワークを可能とするスマートフォンを配備。社内サテライトオフィスも設置し、時間や場所にとらわれない働き方改革の実現に向けた環境づくりを進めている。


富士ゼロックス東京株式会社

2014年より全社員を対象に、自社や関連会社のオフィスをサテライトオフィスとして利用できるように整備。都内14か所にあるサテライトオフィスを確保し、始業と就業の報告さえすれば申請不要で直行直帰を可能にした。

同時にスマートフォンの活用も進めており、サテライトオフィスとの併用にて業務時間の短縮やペーパーレスに貢献。外部のコワーキングスペースやレンタルスペースの利用も検討中。



参考:総務省 テレワーク情報サイト

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/furusato-telework/index.html



大きな企業であれば全国にオフィスを構えているため、自社内でサテライトオフィスを導入する事例が目立ちます。

ただ中小企業でも、昨今増加しているレンタルオフィスや貸し会議室などのサービスを活用すればサテライトオフィスの導入は可能です。

そもそもサテライトオフィスは、働き方改革における場所や時間にとらわれない柔軟な働き方の実現が目的。企業と社員にとってメリットになるのなら、どのような方法でも良いのです。



サテライトオフィスを東京都で導入するなら助成金も活用しよう!


サテライトオフィスにも様々な種類がありますが、主に3つの方法に分けられます。


1. 支社、支店の中にサテライトオフィススペースを設ける

2. 外部のレンタルスペースや貸し会議室を活用する

3. 郊外や地方、その他遠隔地に小型のオフィスを構える


いずれにしても、サテライトオフィスの導入は企業にとってコストが気がかりになるでしょう。

そこで活用したいのが、国や東京都が行っているサテライトオフィス導入を支援する助成金や補助金の制度。サテライトオフィスを導入する企業におすすめしたい助成金制度が2つあります。



時間外労働等改善助成金(テレワークコース)

在宅やサテライトオフィスによるテレワーク勤務に取り組む中小企業に対して、導入費用の一部を助成する制度。


≪条件≫

  • ・労働者災害補償保険の適用事業主であること
  • ・テレワークを新規で導入する事業主であること
  • ・在宅またはサテライトオフィスによるテレワーク実施に積極的であり、成果が期待できる事業主であること
  • ・次のいずれかに該当する事業主であること

(時間外労働等改善助成の対象になる企業の表)

業種 A.資本または出資額 B.常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

参考:厚生労働省時間外労働等改善助成金(テレワークコース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html



≪ 助成金 ≫

  • 事前に決める成果目標に対し、達成度合いによって助成割合と金額が決まる
  • 達成:3/4助成(1人当たりの上限額20万円/1企業当たりの上限額150万円)
  • 未達成:1/2助成(1人当たりの上限額10万円/1企業当たりの上限額100万円)

参考:厚生労働省時間外労働等改善助成金(テレワークコース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html



テレワーク活用・働く女性応援助成金


中小企業が取り組むテレワーク導入による職場環境改善に要した費用に対して助成金を支給する制度。


≪ 条件 ≫

  • ・都内で事業を営む中小企業であること
  • ・常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下の企業であること
  • ・都内に勤務する従業員を2名以上、継続して6か月間雇用していること

≪ 助成金 ≫

  • 通信インフラなどの導入によるテレワーク環境の整備にかかった費用:限度額250万円(助成率1/2)
  • テレワーク導入で民間サテライトオフィスを利用する際の費用:限度額250万円(助成率1/2)

参考:公益財団法人東京しごと財団 雇用環境整備課

https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/boshu/31teleboshu.html



各助成金制度は他にも要件や申請方法があるため、各ホームページで助成金の対象であるかなどは確認されたほうが良いでしょう。

サテライトオフィスはメリットが多い反面、導入コストが高くなるため中小企業はためらいがちです。

厚生労働省の委託事業による無料サテライトオフィスもあります。併せて助成金の制度を活用して導入コストを抑えられれば、あなたの働く会社でもサテライトオフィスの導入が身近になるのではないでしょうか。



執筆者情報

株式会社アントレサポート 鈴木■

創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。
バーチャルオフィス・レンタルサロンなど、さまざまな事業展開をしている。

執筆日:2020年3月3日