法改正された電話代行サービスの条件!
今後も電話転送を利用する2つの方法
この記事をご覧いただいているあなたは
「あれ?電話転送サービスが少なくなった?」
「この間まであった03番号の発信サービスがなくなってる……」
なんて思われていないでしょうか?
実は平成30年に成立した法改正により電話代行サービスの一部が終了しています。
今回の法改正は、固定電話を持っていることや、サービスを提供する会社と同じエリアの人しか転送電話のサービスを受けられないといった厳しい内容です。
法人、個人を含め電話代行を利用していた方が多くいましたが、その後どのように変化したのでしょうか。
法改正により電話代行サービスにどんな影響があったのか。
この記事をお読みいただければ全容が分かります。
法改正により電話代行サービスの利用が厳しくなった理由
非常に便利な電話転送サービスですが、全く問題がなかったわけではありません。
法改正で電話代行サービスが一部終了となったのは、「電話」というそもそもの機能に関する信頼性や犯罪防止といった目的が背景にあります。
●電話番号は「どのエリアからかかってきた電話か」が分かる仕組みになっているが、発信エリアが偽装できる電話転送の仕組みを悪用するケースが多くなった
●固定電話には「一定の通話品質を確保すること」という法的な定めがあるが、電話転送によりインターネット通話などに転送されることで意図せず通話品質が低下している
●転送されてきた電話番号のため、犯罪捜査や救急などの人命にかかわる場面でエリアの特定ができず、折り返しの電話もできないことがある
そもそも電話転送サービスとはどのような仕組みなのかおさらいしておきましょう。
着信転送 | 「03~」などにかかってきた電話を、自分が持っている別番号の携帯電話「090~」などに着信させるサービス |
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発信転送 | 専用のサービスやアプリなどを使って相手に電話をかけると、「03~」などの番号を経由して相手に着信するサービス |
企業などが代表電話にかかってきた電話を外出先で受電したり、逆に外出先からでも会社の番号で電話をかけられたりするのが電話転送サービスのメリット。
電話代行サービスの一環として、多くの電話代行業者が電話転送サービスを提供していました。
ただ便利である反面、少なからず弊害の生まれていた電話転送サービス。
人命に関わるともなれば放置できないため、国は電気通信事業法を改正。令和元年5月22日の施行を機に、電話代行業者の多くが電話転送サービスを終了する事態に至ったのです。
総務省が転送電話サービスに対して提示した条件
ただ国の法改正も電話代行サービス自体を無くすことが目的ではありません。
あくまで長い歴史の中で培われた電話の信頼と利便性を確保するのが目的ですので、一定の条件に対応できるなら引き続き電話転送サービスを提供できます。
●利用者の本人確認をしていること
●利用者の活動拠点がサービス提供者と同じエリアにあること
●利用者の活動拠点に固定電話等があること
簡単にご説明すると東京都に活動拠点(事務所、自宅など)の確認が取れ、03番号を貸し出すことは可能です。
06番号などの番号を機械的操作により貸し出すことは出来ません。
また、貸し出した03番号をNTTのボイスワープで携帯電話に転送することは可能です。
活動拠点というのは、会社登記している場所や事業所の住所が一つの基準になります。実際にそこで業務をしている必要はなく、あくまで拠点をどこに構えているかという点で判断します。
専門的な話になるため割愛しますが、IP電話というのも法改正で重要なポイント。電話転送サービスは、通話品質が中クラス以上のIP電話と同等の品質を確保するのも一つの条件になっています。
どちらにしても厳しい条件をクリアしなければ電話転送サービスを提供できませんので、法改正は電話代行サービス業者に大きな痛手に思えます。
ただ実は、対象となるサービスが「自動転送」でないなら今回の法改正の影響を受けません。
法が改正されても電話代行サービスで電話転送を利用する方法がある!
電話転送サービスは法的な用語で「電話転送役務」と言います。
実は法改正の対象となる電話転送役務は、「自動的に転送するサービス」です。総務省の電話転送サービスを説明する資料から、電話転送役務の定義を分かりやすくしてご説明します。
【電話転送役務の定義】
発信転送 | 専用の設備を介した電話発信により発信元電話番号を変更して発信先に自動転送すること |
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着信転送 | 専用の設備に着信した電話を利用者が予め指定した電話番号へ自動的に転送すること |
ポイントは「自動転送する」という部分。つまり機械的な自動転送ではなく、コールセンターや電話秘書などのオペレーターなどを介していれば法の適用外となるのです。
また、NTTが提供してボイスワープは適用外でご利用頂けます。
例えばバーチャルオフィスやレンタルオフィスでは、「電話秘書」や「住所貸し」といったサービスも提供している会社が多くあります。
よって以下のパターンであれば、電話転送のサービスを引き続き利用できるのです。
1. 【電話番号貸し】 + 【電話秘書サービス】をセットで契約する
2. 【住所貸し】 + 【電話転送(電話番号貸し)】をセットで契約する
3. 【住所貸し】 + 【電話番号貸し】+【受電専用サービス】をセットで契約する
電話秘書を間に挟むことで、電気通信事業法の電話転送役務からは外れます。
電話秘書サービスを利用しないなら、住所貸しサービスにて活動拠点を確保すれば電話転送サービスが利用可能です。
ただ法律は拡大解釈しすぎると罰せられる可能性もあります。
利用方法などで疑問があれば、サービス提供事業者に確認することをオススメします。
法改正による電話代行事業者と利用者への影響は改悪?改善?
今回の法改正は、電話代行業者やサービスの利用者によっては大きな影響がありました。中には「固定電話を置けないから電話転送を使っているのに……」という意見もあります。
ただ電話転送を悪用するケースや、緊急通報や通話品質の点で意図せず第三者に迷惑をかけているケースがあるのも事実。法改正自体は電話転送を利用する人以外にも関わる、大事な法改正と考えたほうが良いでしょう。
そもそも法改正により電話代行サービスの内容が変わったことは、悪い面だけではありません。
●電話転送の利用者は活動拠点の確認や本人確認ができている人である
●機械的な転送ではなく人を介した転送により営業電話をカットできる
●電話秘書などの受付を介することにより企業としての信頼度がアップできる
電話転送のサービス利用者にとって法改正の影響は決して小さくありません。
ただ企業の取引や個人の利用かに関わらず、法改正による条件を満たすことで結果的に信頼性をより高められるとも言えるのではないでしょうか。
執筆者情報
■株式会社アントレサポート 鈴木■
創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。 |
執筆日:2019年12月23日