【実例あり】ベンチャーがレンタルオフィスで起業する流れと5つのポイント
業種に関わらず起業時にかかる費用は、オフィスや店舗、設備に備品、その他販促物の作成など、ハード面が大半のウエイトを占めます。イニシャルコストの高さから起業を躊躇する方も多いのではないでしょうか。
ただ現代のオフィス事情には「レンタルオフィス」という便利なサービスがあります。
レンタルオフィスならコストを抑えつつ必要な時に必要なサービスが利用可能。レンタルオフィスは合理的かつ効率的な起業を果たせる、まさにサブスクリプション時代に合ったサービスと言えるでしょう。
今回はレンタルオフィスがビジネスチャンスにどう寄与するのか、実例を踏まえてご紹介します。
レンタルオフィスを利用するまでの流れやオフィス選びのポイントまで解説しますので、これから起業を考える方は是非ご参考になさってください。
1.ベンチャーがレンタルオフィスで起業する6つのメリット
ベンチャーに限らず、起業に当たっては必ず何らかの悩みを抱えることでしょう。
例えば日本政策金融公庫が行っている「新規開業に関する調査」を見ると、開業時に「顧客や販路の開拓」「資金繰り」で苦労する人が圧倒的に多いのが分かります。
画像引用:日本政策金融公庫 新規開業に関する調査
顧客開拓や資金繰りは、ビジネスを拡大させるための必須条件。イニシャルコストやランニングコストを抑え、できれば登記や経理といった事務を効率良くこなすのが起業時の悩みを解消するカギになります。
起業時の悩みを解消するのに役立つのが「レンタルオフィス」です。
レンタルオフィスの活用は、上述の悩みを解消させるのに寄与するメリットが多くあります。
レンタルオフィスのメリット |
---|
・安い費用で良い立地にオフィスを構えられる ・その他イニシャルコストを安く抑えられる ・会社規模が変動しても移転が楽にできる ・オプションで経理や税務を代行してくれる ・オフィス用の家具や備品、OA機器が揃っている ・他業種との交流できる場が提供されているオフィスもある |
他にもオフィス内の清掃が不要だったり、会議室を使えたりというメリットもあります。必要な時だけ必要な物を使うサブスクリプションが注目される今、ベンチャーがレンタルオフィスで起業するのは業務の効率化と販路拡大に大きく貢献するのです。
2.レンタルオフィスでベンチャーが事務所を構えるまでの流れ
本業以外の業務やコストを削減できれば、ビジネスや設備へ投資する余裕が生まれます。また他業種の人と交流できる時間を持てることで、ビジネスチャンスを広げる機会を得られることもあるでしょう。
だとするなら、起業自体の効率化も検討したいところ。
レンタルオフィスで起業する流れは最低限抑えておきましょう。
- 1. 事業計画やビジネスプランの立案・検討
- 2. 事務所を構える場所を検討
- 3. 複数のレンタルオフィスをピックアップ
- 4. 内覧の予約をしつつ契約条件や費用の確認
- 5. 必要書類を揃えて申込・契約
- 6. 費用を支払い後に利用開始
流れ自体はさほど難しくありません。大事なのは「1. 事務所となる場所を検討する」、「2. 内覧の予約をしつつ契約条件や費用の確認」の2つ。
たとえ駆け出しのベンチャーと言っても、立地は重要です。例えばここ最近で大手IT企業は改めて渋谷という立地に注目しています。同業種なら渋谷に事務所を構えるほうがビジネスチャンスに巡り合う機会が増えるでしょう。
時間的な効率のほうが大事というなら、東京都内の複数路線が使える場所にするという選択肢もあります。
また初期費用がどの程度か、保証金や更新料などがいくらになるか把握するのも大事です。
レンタルオフィスは確かにコスト削減に寄与しますが、起業自体が0円でできるわけではありません。レンタルオフィスの初期費用が0円でも会社登記や販促活動での費用はかかりますから、最初の契約内容はしっかり確認しましょう。
レンタルオフィスの利用開始までに資金が圧迫されないか、そしてレンタルオフィスの契約内容が不利すぎる内容になっていないか。
まずは自分がそのオフィスで活動する状況を予めシミュレーションして、最も合理的なレンタルオフィスの活用方法を目指しましょう。
3.【実例:株式会社bros】レンタルオフィスが広げた「人脈」という最大の武器!
レンタルオフィスを活用した起業のメリットと流れが掴めたら、あとは先輩の実例を知ることで更にイメージが湧きやすくなります。
2016年10月に「PRIVE(プライブ)」ブランドとしてオーダースーツ事業立ち上げた、代表の佐藤大地さん。株式会社brosへと社名変更を経ながら、起業家やデザインスーツプロデューサーとしても活躍しています。
「プライベートな空間で一人一人の要望に応えたスーツを作る」
そんなコンセプトを基に出来上がるオリジナルスーツは、品の良さと洗練を兼ね備えながら華やかさも忘れていません。
レンタルオフィスの活用法
現在は幅広い人脈を武器に活動される佐藤さんも、起業時は悩みがあったとのこと。
・オフィスを含めた起業コスト
・開業にあたっての資金調達
・経理事務への不安
ただこれらの悩みはレンタルオフィスの活用であっさり解消。
敷金や更新料などが不要な上、通信環境が整ったレンタルオフィスの利用を決めたことで低コストの事業開始を実現しました。資金調達や経理のサポートを受けられるサービスもあり、本業のオーダースーツ事業に専念されています。
実は佐藤さんの武器である人脈は、レンタルオフィスの活用で更に幅を広げています。
同じオフィスを利用する方からの紹介で、ウェスティンホテル東京の日本料理料理長へオーダースーツを納品。更に同じオフィスを利用する弁護士の紹介で朝活にも参加されています。
レンタルオフィスという存在一つが、人脈を更に強固にした良い事例と言えるでしょう。
参考:アントレサポート「起業家・デザインスーツプロデューサー 佐藤 大地」
4ベンチャーがレンタルオフィスで起業する際の5つのポイント
レンタルオフィスでベンチャーを起業するノウハウやイメージが明確になると、今すぐにでも起業したくなる気持ちが高ぶることでしょう。思い立ったら実行、決して悪いことではありません。
ただしレンタルオフィスで起業を果たすには、注意点もあります。
ベンチャーだけでなくスタートアップ事業にも通じる、レンタルオフィスで起業する際の5つのポイントを押さえておきましょう。
【1】ビジネスとして見た立地
店舗を出店するのでない限り、必ずしも大通りに面していたりおしゃれなエリアであったりする必要はありません。むしろ駅から近い物件であるかが大事であり、駅から徒歩10分前後を目安とすると良いでしょう。
企業としての信頼性を得るなら、やはり東京がベスト。ただ東京ならどこでも良いわけではありません。
・人と情報が集まる街であるか
・複数路線の乗り入れる駅であるか
・同業種の人との情報交換が叶いそうな場所であるか
前述にてIT関連なら渋谷が良いとご説明しましたが、ひょんな出会いからビジネスが拡大するというのは以外と多くあるものです。立地選びは侮れません。
【2】初期費用とランニングコスト
起業にあたって最初の難関は、やはり「資金」です。
レンタルオフィスは初期費用もランニングコストも安く抑えられますが、重要なのは最終的なコスト。オフィス貸し以外のサービスが充実するレンタルオフィスは多くありますが、ほとんどが有料オプションです。
よって会議室やコピー機などの設備、通信環境といったサービスは、利用料金の中に含まれていることを前提としましょう。最低限のサービスや設備があった上で、必要なオプションやサービスを追加していくのが賢いレンタルオフィスの使い方です。
【4】設備・オプションの内容
ではどんなオプションやサービスがあると起業に役立つでしょうか。
レンタルオフィスは利用料金の中に会議室や各設備が含まれていると良いとお伝えしました。できれば、必要になるかもしれない「会社登記代行」「経理代行」「電話秘書」などのオプションが充実していると尚良しです。
最初にご紹介した起業時の悩みでは、「販路拡大」「資金繰り」の他に「財務・税務の知識不足」「従業員の確保」といったものもありました。レンタルオフィスによっては、これらの悩みを解消できるオプションを提供しています。
利用したい時に利用したいサービスがある。
これも事業を効率化させるために大事なことだと言えるでしょう。
【3】利用形態を確認する
レンタルオフィス一つとっても、オフィス内の環境は様々。昨今人気のシェアオフィスに近いオープンなレンタルオフィスもあれば、個室をメインにしているレンタルオフィスもあります。
業種によりどちらが正解ということはありませんが、普通の賃貸オフィスでは費用が高くなるのは必至。かといって企業機密を外に漏らすわけにいきませんから、オープンすぎるスペースも考えものです。
一番大事なのは、集中して仕事ができる個室ブースが充実しているか。
その上で、ある程度のオープンスペースもあるのが最も望ましいレンタルオフィスの利用形態です。
【5】人脈を広げる場が提供されているか
意外と軽視されがちなのが、レンタルオフィス内に交流の場があるかどうか。
前章でご紹介した起業家事例のように、ビジネスは思わぬところからチャンスが巡ってきます。そこに着目していると言えるのが、昨今のシェアオフィスです。
ただ前述の通り、交流も必要最低限に抑えなければ情報の流出に繋がる可能性があるためメリハリは重要。セキュリティの高い個室が確保されながらも、異業種との交流が図れるスペースがあるレンタルオフィスがベストな選択です。
近年はレンタルオフィスだけでなく、バーチャルオフィスやコワーキングスペースなど様々なオフィス形態があります。更に先進的な取り組みとして、地方の居抜き店舗や空き家を活用したco-living(コリビング)なるものまで登場しています。
まだまだ選択の幅は広がっていくと考えられるオフィス事情。
起業する際のベンチャーオフィスは、メリットが多い東京のレンタルオフィスから始めてみてはいかがでしょうか。
執筆者情報
■株式会社アントレサポート 鈴木■
創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。 |
執筆日:2020年2月5日