法人登記から確定申告まで丸投げ!?
経理代行のメリットとは?

副業の範囲でも確定申告が必要になると、たまに「経理代行」と言った言葉を目にすることはないでしょうか。
何となく経理代行がどんなものかイメージできても「個人事業主で確定申告する程度なら不要では?」と思う方もいらっしゃることでしょう。

ただ、経理代行は自分のビジネスを更に拡大させ、場合によっては法人を設立する時にも活躍する非常に助かるサービスです。

そこでこの記事では、「経理代行とは何か?」を解説しつつ、利用にどのくらいの費用がかかるのかをご紹介します。経理代行のメリットが分かってくると、実は非常に便利なサービスだというのがお分かりいただけるでしょう。


経理代行とは?具体的なサービス内容を解説!

経理代行とは、主に会社の収支の確認から記帳、試算表(損益計算書、貸借対照表)を作成するサービスです。オプションで給与計算、法定調書作成事務などを行います。経理を雇うほど事業的に余裕がない、または自分で経理業務を行う時間が取れないといった場合に経理業務をアウトソーシングできるのが経理代行です。

経理代行は煩雑すぎる経理業務を安心して任せられるのが最大のメリット。スタートアップ時はどんぶり勘定になりがちです。月ごとの損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー表を作成することで企業の資産(体力)、損益(血流)が分かります。売上は増えているのに会社にお金が残らない!そのような時、会社の体質(お金の流れ)をPL、BSで分析することができます。経理と一概に侮らずに業務そのものが多岐に渡り、経理代行の会社によりサービス内容にも違いがあります。そこで主にアウトソーシングできる経理業務を見てみましょう。

  • ・記帳作成
  • ・振り込みや支払いの業務
  • ・入金や売上金の管理
  • ・領収書や請求書の発行
  • ・給与計算
  • ・売掛、買掛金の管理
  • ・決算、申告業務

大きく分ければ以上になりますが、それぞれの業務の中で更に細かく分かれます。

例えば振り込みや支払いといっても、取引先との間だけでなく給与振り込みや納税、社内インフラを維持するための費用などがあります。また領収書や請求書も、取引先の希望で書式や記載内容をこちら側でひと手間加える必要があったり、お金が動く度に発行したりしなければなりません。

もし自分一人で経理業務をこなすとなれば、それだけで一日が終わってしまうこともあるでしょう。根本的なミスが見つかれば最初からやり直しなんて恐ろしい事態もあり得ます。

そんな非効率を解消するのに役立つのが経理代行なのです。

料金表で分かる!確定申告で経理代行を利用する費用相場

経理代行の会社によりサービス内容は千差万別。月額で全てのサービスをパック化している会社もあれば、事業規模や必要な業務に応じてサービスをチョイスできるタイプの会社もあります。

そこで複数社の経理代行サービスの費用を比較して見てみましょう。

もし自分が経理代行を依頼するならどのサービスが良さそうかという視点でご覧ください。

※注意すべきは、記帳代行は税理士以外の一般企業でも代行することができます。また、決算書作成申告の代行は税理士の専管事項です。元経理課の女性達を雇い安価に記帳代行を行っている会社もあり、料金が安いのには理由があります。節税、税務申告を考えるならば記帳代行も含め、一気通貫で税理士が行う経理代行をお奨めします。

A社 基本的な経理業務:月額15万円
資金繰りや融資相談、資産管理まで含む:月額30万円
B社 月次の仕訳や売り上げ管理:月額10~20万円
全ての月次決算管理:月額20~30万円
周辺業務まで含めた業務:月額30~80万
C社 記帳代行:月額1万5,000円~3万3,000円(100~300仕訳まで)
給与計算:月額5000円(1人に付き1000円プラス)
振込・支払い代行:1件あたり1000円
請求書発行:1件1000円
D社 会計ソフトへの入力代行:月額980~5万円(仕訳数による)
振込業務:490~2,000円
請求書発行:1件1,000円
給与計算:1~50名で1人当たり月900円

最近では、財務や会計を含めた経理事務を自動化してくれるクラウドサービスも多くあります。ただ結局、ソフトへの入力や確認作業、それらを印刷するなどして管理するのは自分。仮に経理を雇うにしても、人件費として一般的な給与である月20~30万円は必要です。まだ事業を立ち上げたばかりだと、経理一人の人件費だけでも事業を圧迫させかねません。

事業が拡大すれば、2人3人と経理の増員を検討する必要も出てきます。最初のうちは最低限の業務を自分でこなし、必要な経理業務だけ外部委託。事業が拡大した時点で、月額制のパック料金で経理代行を依頼するといった方法も良いかもしれません。

法人登記から確定申告まで!格安の丸投げパックがオススメ!

前章の費用相場を見る限り、経理代行も決して安くはないと感じられた方も多いかと思います。ただあくまで前章でご紹介した費用は目安であり、企業規模がそれなりに大きくなったケースも含んだ相場です。

そうなると起業したばかりでも利用できる経理代行がないのか気になるところ。実は昨今人気のレンタルオフィスやバーチャルオフィスを運営する会社では、経理代行をオプションとして提供していることがあります。中にはオフィスの利用と経理代行をセットにすることで、かなりリーズナブルな料金で経理代行を依頼できる会社もあるほどです。

ではレンタルオフィスやバーチャルオフィスを提供する会社の経理代行について、具体的な中身を見てみましょう。

  • ・法人設立届出書の作成
  • ・源泉所得税の特例・青色申告承認申請書の作成
  • ・給与支払事務所開設届出書の作成
  • ・試算表の作成(PL、BSの作成)
  • ・決算書・税務申告書の作成、提出

参考:アントレサポート

気になるのが、「法人設立届出書の作成提出」の部分。つまり経理代行だけでなく法人設立登記から各役所への届出も行ってくれるので、言ってしまえば「法人登記から確定申告までの全部丸投げパック!」と言っても良いでしょう。窓口を一本化することで様々な煩わしい作業が無くなり、効率が上がります。

更に上記で最も助かるのが、やはり記帳代行と決算書や税務申告書の作成です。決算書一つとっても損益計算書や貸借対照表があります。そもそも期末に行う決算で会社の収益が初めて分かる。では、会社が黒字なのか赤字なのか分からない状態です。それでは、帳簿上は黒字でも会社にお金が無い?所謂、黒字倒産に成りかねません。法人税を払う為に借金するとか・・・・・・それでは、目も当てられません。

またレンタルオフィスやバーチャルオフィスを運営する会社によっては、他にも以下のようなサービスを提供していることもあります。

  • ・キャッシュフロー表の作成
  • ・月次試算表のデータ作成
  • ・領収書の整理や貼付
  • ・源泉所得税の管理作成
  • ・源泉所得税の納付書作成
  • ・減価償却資産の申告
  • ・税務調査の立会い
  • ・経営コンサルティング

参考:アントレサポート

あくまでオプションですが、減価償却や源泉徴収といった税金知識を要する事務は、無理に自分で行うより税理士などの専門家に任せてしまったほうが良いでしょう。

サラリーマンにもオススメ!?経理代行を利用するメリット

さて、事業規模がまだ小さいベンチャーやスタートアップ、更には副業の範囲であるサラリーマンにとって、経理代行なんて大げさに思われるかもしれません。ただ副業でも1年間に20万円以上の利益が出たなら確定申告は必須。事業規模がどうあれ、経理事務は必要なのです。

しかしそもそも、経理代行を利用するメリットとは何なのでしょうか。

  • 【メリット1】事務の手間が無くなり本業やお客様からのお問い合わせ対応に集中できる
  • 【メリット2】経理に関連する人件費や経費が削減できる
  • 【メリット3】経理代行自体が専門家の集まりのため仕事が正確でスピーディ
  • 【メリット4】税制改正などがあっても漏れずに対応してもらえる
  • 【メリット5】試算表を毎月確認することで、経営判断に役立つ

そもそも確定申告は、ここまで散々登場してきた「帳簿」と「決算書」、「確定申告書類」の作成と提出がメイン。特に副業でビジネスを行っているサラリーマンなら、これらの作業負担をカットできればビジネスチャンスを逃すことがありません。

また経理を外部に委託するという性質上、内部不正や経理の急な退職によるリスクは限りなくゼロになります。申告漏れや修正申告といったミスも少なくなり、確実に節税ができますから、自社で経理というリソースを持つことと比べて安心感がまるで違うのです。

現代の経営戦略は特性、能力、才能といった、自社の得意分野を追求する「ケイパビリティ」や「コアコンピタンス」が差別化に欠かせないと言われています。

ではそれを実現するためには何が必要でしょうか。

他社が経理事務に時間とコストを費やしているなら、自社はそれらを全てアウトソーシングすること。その分で自社ならではのサービスを更に拡大していくのが、経営戦略の差別化で最初にすべきことなのかもしれません。

執筆者情報

株式会社アントレサポート 鈴木■

創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。
バーチャルオフィス・レンタルサロンなど、さまざまな事業展開をしている。

執筆日:2020年7月16日