起業時にバーチャルオフィスを活用するメリット
起業の際、多くの事業主がまず「資金繰り」の問題に悩まされるのではないでしょうか。
特に賃貸オフィスを借りるには、賃料などのランニングコストのほかに、仲介手数料や前家賃、半年以上
の保証金の支払いなど、莫大なイニシャルコストが発生します。
都心の人気エリアの住所にオフィスを構えるとなれば、さらに高額な費用が発生するでしょう。
そこで最近人気なのが「バーチャルオフィス」のサービスです。
オフィスとしての業務スペースは借りずに、ビジネスに必要な「住所貸し」「電話番号貸し」「郵便受取・転送」などの
サービスが受けられる新しいオフィス形態です。
「資金は限られているけど、都心の一等地の住所を本拠地として顧客にアピールしたい」
「実際の作業は自宅で行うけど、プライバシー保護のため名刺やHPには自宅以外の住所を記載したい」
このような理由から、起業家やフリーランスの方からの注目を集めています。
しかし、インターネット上には「バーチャルオフィスはばれたら怪しいと思われる」「銀行口座が開設できない」などのネガティブな情報もあるため、
興味はあっても「大丈夫かな」と不安に感じてしまうかもしれません。
そこで、この記事では、バーチャルオフィスの具体的なサービス内容や適している業種についてまた、
なぜ起業時にバーチャルオフィスの利用がお勧めなのかメリットを含め解説をしていきます。
バーチャルオフィスの具体的なサービス内容とは
バーチャルオフィスで受けられるサービスは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
一般的には「住所貸し」や「電話番号貸し」などのサービスがよく知られていますが、他にも以下のようなサービスがあります。
・電話対応
・受付秘書対応
・郵便物受取・報告・転送
・社名プレート掲示
・会議室・商談スペース利用
提供しているサービスはバーチャルオフィスの運営会社によって異なります。
中には住所貸しや電話番号貸しのサービスのみで、他のサービスを一切提供していない運営会社もありますので、
どのようなサービスがあるのか、事前に確認をしておくことをおすすめします。
また、起業する際はオフィス選びだけでなくはさまざまな事務手続きが必要です。
どのような書類を準備してどう手続きするのかなど、疑問に思っている起業家も多いことから
会社を起業・運営していく上で必要なサービスを提供している運営会社もあります。
具体的には以下のようなサービスです。
・法人登記代行
・社会保険手続き代行
・経理代行
法人登記や経理処理など、個人で行うには複雑な手続きも、サービスを利用すれば時間と労力を削減でき、事業に集中できます。
司法書士や税理士と提携している運営会社もありますので、。サービスの内容や費用など分からないことは運営会社に相談してみましょう。
どのような仕事の人がバーチャルオフィスに向いている?
バーチャルオフィスは、実際の作業は自宅などを利用し、ビジネスに必要な基本情報(住所・電話番号など)だけを借りてコストを大幅にカットしたいという人に向いています。
逆をいえば、個別の専有スペースが必須とされる仕事や、オフィスとして営業実態が問われる仕事以外のほとんどの職種において、バーチャルオフィスでの開業は可能ということです。
▼バーチャルオフィスで起業が可能な業種例
・ネットショップなどのECサイト運営者
・ネットビジネス関連(ブロガーやYoutuber、アフィリエイター)
・講師業やコンサル業関連、営業代行
・Web関連(Webライター、デザイナー、プログラマー)
・技術関連(スタイリスト、カメラマン)
・出張マッサージなど、専有スペースを必要としないセラピストや占い師
ただし、行政や労働局、警察署の認可が必要で、ビジネスを行う上で「そのオフィスでの営業実態」を求められる業種や、
「○○平米以上」など専有スペース確保が条件として求められる業種の場合、バーチャルオフィスでの登記が難しくなりますので注意してください。
▼バーチャルオフィスで起業が難しい業種例
・職業紹介業や人材派遣業
・弁護士や司法書士、税理士などの士業
・宅地建物取引業
・古物商
・廃棄物処理業
・探偵業
ただし上記のような業種は、たとえバーチャルオフィスで認可が下りなくても、レンタルオフィスなら起業が可能になる可能性もありますので、運営会社に相談してみるのがオススメです。
起業時にバーチャルオフィスを借りるメリット
フリーランスやSOHOなどの働き方が増加傾向にある中、バーチャルオフィスの需要はどんどん高まっています。
起業時にバーチャルオフィスを利用するメリットとして、次の4つが挙げられます。
●開業資金を削減できる
●プライバシーが守られる
●都心一等地のブランド住所が利用できる
●併設の会議室を利用できる
開業費用を削減できる
起業の初期段階では、法人登記費用やオフィスの賃貸契約料金などのコストが発生します。
強力な出資者がいるなど一部のケースを除いて、限られた資金でやりくりをしなければならない事業主がほとんどでしょう。
賃貸オフィスを契約する場合、6~12ヶ月分の保証金や前家賃、仲介手数料などの初期費用に莫大なコストがかかる上、オフィスを契約すれば出費はそれで終わりではありません。
毎月の賃料や共益費などのランニングコストの他、電話回線・インターネット回線工事、OA機器やオフィス家具の購入など、家賃以外に設備費用が発生します。
しかし、パソコン一つである程度完結できる仕事であれば、ビジネスが軌道に乗るまでの間、実際の作業は自宅などで行い、対外的に公表する住所としてバーチャルオフィスを利用する方法もあります。
住所・電話番号を公表することで、電話問い合わせや営業マンの急な来訪があるかもしれませんが、社員として対応してくれる「電話秘書」や「受付秘書」のサービスを提供している運営会社もあるので、
うまく活用すれば人材コストをかけずに事業運営していくことが可能です。
このように賃貸オフィスを契約すると莫大なコストがかかりますが、バーチャルオフィスを利用することでコストを削減でき、
起業のハードルを大幅に下げることは大きなメリットと言えます。
自宅住所の公開を避けることができ、プライバシーが守られる
自宅をそのまま作業スペースにする場合、経済的にも時間的にもコストカットになるのがメリットですが、
自宅住所をオフィスとして対外的に公表することはプライバシー面ではデメリットと言えるでしょう。
現代は大量情報化時代と言われ、インターネットやSNS等ですぐに情報を検索できる点は利便性が高いですが、
特に女性は、名刺やHPに自宅住所を公開することに不安を感じる人も多いはずです。
実際、女性起業家が公開用のオフィス住所としてバーチャルオフィスを利用するケースが多く見られます。
自宅住所の公開を避け、プライバシーを守ることができるのは、バーチャルオフィスの魅力の一つです。
都心の一等地に本店所在地を置くことができる
会社住所はそれ自体がステータスであり、取引先に与えるイメージに影響します。
先ほど説明したとおり、賃貸オフィスを借りる場合には莫大なコストが発生しますが、
バーチャルオフィスを利用すれば、会社住所を格安で都心一等地に登記することができます。
自宅の賃貸マンションを会社の本拠地として公開するよりも信用度が高く、対外的に大きなイメージアップに繋がるでしょう。
会議室などの施設・設備を利用できる
賃貸オフィスではなく自宅が作業スペースの場合、打ち合わせや商談が必要となった時に場所がなく、困ることがあります。
ビジネスを発展させるためには、商談や打ち合わせの場は必要不可欠です。
バーチャルオフィスの中には、格安で会議室や商談スペースを利用できるところも多くあります。
契約を検討している運営会社があれば、会議室の利用サービスがあるかどうかも事前にチェックしておくと良いでしょう
(※バーチャルオフィスの中には、住所貸しや電話番号貸しのみで、そもそも会議室自体がない運営会社も存在します。事前に必ずチェックしておきましょう)。
さらにオンラインでいつでも会議室の空き状況の確認や予約ができるようなシステムを導入しているバーチャルオフィスであれば、
忙しい中でも使い勝手が良くさらに便利です。
バーチャルオフィスを選ぶ際の注意点
起業時にバーチャルオフィスを活用するとさまざまなメリットがありますが、
作業スペースがなく営業の実態が確認できないという性質上、注意しなければならないポイントもいくつかあります。
住所・立地を確認する
<pバーチャルオフィスを選ぶ際、住所と立地は重要なポイントです。
特に、「バーチャルオフィスは対外用の住所だし…格安でそれなりに知名度の高いエリアであればどこでもいいや」と考えている人は注意が必要です
なぜなら住所を公表することで、クライアントや取引先が急に訪ねてくる可能性があるからです。
また、作業を自宅で行っていても、ビジネスが発展していけば必ず商談や打ち合わせをする機会が増え、バーチャルオフィスの会議室を利用することも増えていくでしょう。
チャルオフィスを選んでしまうと、事業主自身も大変ですし、取引先からの印象もマイナスに映ってしまう可能性があります。
起業までは自分の力だけで行えても、実際に会社として運営していくとなると、事務処理から本来の仕事までを全て自分で行うことになり、大変な労力です。
「オフィスへの道のり=取引先の道のり」だという意識を強く持ちましょう。
納税地を確認する
納税地で注意しなければならないことは、個人事業主なのか、法人かによって異なります。
●個人事業主の場合
個人事業主の場合、よほど特殊なケースでないかぎり、納税地についてあまり神経質になる必要はありません。
税務署に提出する開業届(※正式名は「個人事業の開業・廃業等届出書」)には、①「納税地」②「上記以外の住所他・事業所等」の項目がありますが、
ここでいう「納税地」とは、「住んでいる住所」となります。
SOHOで自宅を事務所としている場合は、この①の欄に、自宅の住所を記載すればOKです。
作業は自宅を利用し、対外用のオフィスとしてバーチャルオフィスを利用したい場合は、②にバーチャルオフィスの住所を記載すればOKですが、
仮に②の欄にバーチャルオフィスの住所を記載しなかったとしても、大きなデメリットは発生しません。
●法人の場合
法人として会社を設立する場合、登記簿謄本が関わってくるため注意が必要になります。
というのも、「法人設立届出書」に記載する「納税地」の項目は、基本的に「本店所在地」のある場所を記載しなければならないという決まりがあるからです。
ここでいう「本店」とは登記簿謄本に記載された「本店所在地」のことであり、「1つの法人につき1ヶ所」と決まっています。
例えばあまり深く考えずどこかのバーチャルオフィスと契約し、他のオフィスに移転したとします。
そうすると「法人設立届出書」の「納税地」欄に記載する「本店所在地」を変更するには、
登記移転に関する「登記変更手続き」を行わなければならず、3万円~6万円の費用が発生してしまうのです。
このように法人の起業を考えている人は、安易にオフィスを変更してしまうと痛い出費が発生します。
最近では都内にも次々と格安なバーチャルオフィスが進出していますが、
オフィス選びは後で変更が発生しないよう、入念に下調べをしてから選びましょう。
受付、利用時間を確認する
バーチャルオフィス選びでは、受付と利用時間についても必ず事前に確認しておきましょう。
意外と見落としがちなポイントなので、「実際にそこで仕事をしていないのだから利用時間は関係ないのでは?」と思う方も多いかもしれません。
しかし、先に挙げた通り、名刺やHPをみて急な来訪があった際、「立ち寄ってみたらマンションの一室だった」
「会社の看板や受付が設置されておらず誰もいる気配がない」というような状況に遭遇したら、相手はどう思うでしょうか。
場合によっては大きな不信感を抱かれ、今後の取引に支障がでてしまう恐れもあります。
バーチャルオフィスで提供しているサービスは、住所貸しや電話番号貸しだけとは限りません。
急な来客に備えて、受付秘書が丁寧に対応してくれる運営会社もあります。
ただし、受付サービスを利用したい場合は、対応してくれる時間を事前に確認しておきましょう。
運営会社の実績を確認する
運営会社の実績を確認しておくことも大切なポイントです。
バーチャルオフィスを何年運営しているのか、どのような種類のサービスを提供しているのかなど、事前に問い合わせて確認をしましょう。
実際に内覧をしてみて、運営会社の雰囲気や方針について触れてみることもおすすめです。
「働き方改革」の追い風もあってフリーランス転身や起業する人が増えており、
それに伴い格安のシェアオフィスやバーチャルオフィスがどんどん市場に参入しています。
しかし格安のバーチャルオフィスはコストを最大までカットしているため、無人経営であったり、登記ができなかったり、
社名プレートを出せない(※運営会社が物件を買い上げていないために制約がある)ところが多いのも事実です。
そして必要なサービスまで削った結果、利用者を集められず、参入しては廃業する運営会社が都内でも後を絶ちません。
格安な料金は確かに魅力的ですが、深く考えずに料金だけでバーチャルオフィスを選んでしまい、
最終的にその運営会社が廃業するようなことがあれば、登記の移転手続きにも時間と費用がかかります。
長い間にわたって信用できるような運営会社を選ぶことが大切です。
経理や登記代行などのサポート体制を確認する
個人事業主の開業の場合、一般的には起業の最初の段階に関して、そこまで煩雑な事務手続きは発生しません。
しかし法人を設立する場合は、法人登記の手続きだけでも、法務局や税務署の他、公証人役場まで出向く必要があり、用意しなければならない書類も多岐にわたります。
このように、登記手続きは時間と労力を取られる上、ひとつ間違ってしまうと一からやり直しになったり、
商号変更や登記変更が必要となり変更料金が取られたりする可能性もある点が厄介です。
また、経理処理についても苦戦する人は多いでしょう。
お金の出入りの管理はビジネスにおいて最も重要なことの1つですが、備品代や光熱費、交通費など、毎日のようにかかる費用を経費として常に記録し、計上していくことはとても大変な作業です。
営業に必死な起業当初は、その道のプロにサポートをお願いすれば、だいぶ負担が軽くなるはずです。
バーチャルオフィスによっては、登記や経理作業などを代行してくれるオプションサービスを用意している運営会社もあります。
最初は住所貸しや電話番号貸しなどの最低限のサービスのみを利用して、売上の見通しが立ってきたら専門の担当者にお願いするということもできます。
法人銀行口座の開設状況を確認する
「バーチャルオフィスは法人銀行口座の開設が難しい」という情報がありますが、結論から言うと、
バーチャルオフィスだからといって「法人銀行口座が開設できない」といったことはありません。
しかし、銀行といっても都市銀行・地方銀行・ネットバンク・信用金庫などさまざまあり、条件が銀行ごとに異なりますので、選んだ銀行によっては審査が下りない場合もあります。
特に最近では、バーチャルオフィスが詐欺や犯罪の温床とならないように、銀行の新規口座開設の審査は非常に厳しくなってきています。
バーチャルオフィスで口座を開設するポイントについては、「起業時にバーチャルオフィスで登記する際の注意点」でも説明をしていますので、
法人口座開設について悩んでいる人はこちらもご確認ください。
なお、法人口座開設について最も注意しなければならないのは、登記後に「口座が開設できなかった」場合です。
登記はしたもののきちんと口座開設条件を確認せず、内容不十分のまま銀行に申請して審査に落ちてしまうと、
最悪オフィスを変更せざるをえなくなり、登記移転手続きが発生してしまいます。
こうなってしまうと時間も費用もかかりますので、銀行口座開設に関しても実績があり、ノウハウのある運営会社だと心強いですね。
アントレサポートのバーチャルオフィスサービス紹介
バーチャルオフィスは会社の営業の実態がつかみにくいという仕組み上、不信感を抱かれるリスクもあるのは事実です。
しかし、「このようなことが起きたら取引先や金融機関はどう思うか」と常に取引先目線で考えて事前に準備をしておくことで、信頼の低下は防ぐことができます。
15年以上の運営実績を持つアントレサポートは、バーチャルオフィスの貸出住所にレンタルオフィスも実在しているため、
急な来客があってもバーチャルオフィスだと分かりにくくなっています。
また、利用者様がいつでも安心して利用できるように、渋谷オフィスには受付秘書が常駐し、笑顔で細やかな対応を行っています。
他にも、ニーズにあわせた幅広いプランを用意しており、さまざまなサービスで起業家の方をサポートしています。
・住所貸し(登記OK)
・電話/FAX番号貸し
・電話秘書
・郵便物受取・報告・転送
・社名プレート掲示(※渋谷のみ)
・会議室利用
・複合機利用
・提携士業によるサポート(登記代行・経理代行・社会保険手続き代行・ビザ取得代行)
内覧予約も受けつけておりますので、バーチャルオフィスをお探しなら、お気軽にご相談ください。
執筆者情報
■株式会社アントレサポート 鈴木■
創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。 |
執筆日:2019年3月27日