バーチャルオフィスに違法性は?
信頼できる会社を見分ける2つの方法

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最近のビジネスモデルを見ていると、コワーキングスペースやレンタルオフィスなどをはじめとして、

事務所を構える必要のないバーチャルオフィスにも人気が集まっています。

バーチャルオフィスを単に「住所貸し」とイメージされる方も多いかもしれませんが、「住所貸し」サービスだけでなく、

会議室電話番号のレンタル経理法人登記、開業届の出し方などのサポートまで行うバーチャルオフィスもあります。

ただ、気になるのはバーチャルオフィスが行う「住所貸し」というサービスの違法性についてです。

インターネットで少し検索しただけでも非常に多くの情報が表示されます。

 

そこで今回の記事では、バーチャルオフィスの違法性の有無を法律面から解説します。

優良なバーチャルオフィスの簡単な見分け方もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

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バーチャルオフィスの住所貸しは違法?合法?

最初に結論を申し上げると、バーチャルオフィスというサービスや住所貸しという行為自体、
それだけで違法になることはありません。

住所を貸す相手側が違法行為を行う目的と知っていて住所を貸したのであれば別ですが、
「住所を貸す」というだけで考えるなら特別問題ではないのです。

また、通信販売の営業方法などについて定める「特定商取引法」では、
物を販売したりサービスの提供を行ったりする通信販売会社や訪問販売会社に対し
「氏名と住所を提示しなければならない」と定めています。

ただ、同法の各条文において、「氏名や住所等を滞りなく相手に知らせること」を条件に例外を認めています。

★Point★

●住所を貸す行為:違法行為が目的と知っていた以外なら違法性は極めて薄い

●住所を借りて事業をおこなう行為:違法性はない

●法人設立登記の登記住所として利用出来る。

今や、ネットショップをはじめとして、インターネットを介したビジネスは当たり前の時代になりました。

プライバシー保護の観点から、登記や運営者概要の表示を自宅住所にしたくないとか、

そもそも事務所スペースが不要で費用を安く抑えたいという場合、バーチャルオフィスは有用なサービスと言えるでしょう。

住所貸しに適さない業種一覧

バーチャルオフィスを活用したビジネスに重大な違法性はありません。

ただ、一部では必ず氏名や住所を明示し、オフィススペース(施錠が出来る)が必要な業種もあります。

違法かどうか以前に、許認可が必要な業種ではバーチャルオフィスをはじめとした
「活動実態のない住所」では営業許可がおりないケースがあるのです。
では、その主な業種を一覧で見てみましょう。

【住所貸しで営業できない業種例】
・人材派遣業
・不動産や建設業
・弁護士や司法書士などの士業
・古物商
・探偵業
・風俗業
など…

たとえば、不動産業であれば国土交通省、各都道府県で定められた要件により、専用のドアがあり施錠出来る個室、
来客対応出来るイス、テーブルなどの制約を兼ね備えた事務所でしか開業できない決まりになっています。

また、古物商についても「盗品などの売買防止と、それらのすみやかな発見」などの目的、
保管するスペースとして施錠出来る個室が条件となっており、
探偵業と同じく住所のある所轄の警察署への申請になります。
警察署によっては事務所を見に来る場合もあります。

もしバーチャルオフィスやレンタルオフィスを活用したビジネスを考えるのであれば、
まずは主に順守すべき法律がどれか、そして許認可が必要かどうか、事務所や営業所の規定などについて確認しましょう。

バーチャルオフィスの違法性が問われる理由

さて、インターネットで「バーチャルオフィス 違法」と検索してみると、実に多くの関連情報がヒットします。
それだけバーチャルオフィスの違法性について関心が高いと言えますが、それはなぜなのでしょうか。

考えられる理由は3つあります。

(1) バーチャルオフィスを悪用した詐欺事件が絶えない

(2) 銀行口座の開設ができないケースがある

(3) バーチャルオフィスは安く、借りやすい

 

まず一つ目(1)についてです。

特殊詐欺、投資詐欺やヤミ金融に関するニュースはたびたび目にしますが、
バーチャルオフィスが登場してから多種多様な形で住所貸しを悪用した詐欺が多くあります。

警察庁発表では、2022年の特殊詐欺統計確定値の全国の被害額は前年比88億8千万円(31.5%)増の370億8千万円で、8年ぶりの増加が確定しました。
認知件数は同3072件(21.2%)増の1万7570件、摘発件数は40件増の6640件、摘発された人数は84人増の2458人。
認知件数の都道府県別では東京(3218件)、神奈川(2090件)、大阪(2064件)など、大都市圏の7都府県が約7割を占めています。

一時期の減少からコロナ後、増加傾向になりつつあります。

バーチャルオフィスの運営側に悪意がないにしても、事件のたびにその名が挙げられてしまうことが、
「バーチャルオフィスが違法性があるのではないか」と疑問を持たれてしまう要因の一つと言えるでしょう。

運営側も国からの指導もあり審査を厳しくしていますが、悪意を持った借り手側の巧妙な手段により悪用されてしまうケースが後を絶ちません。

 

もう一つの理由(2)は、「犯罪収益移転防止法」の制定による本人確認の厳格化です。

同法では、犯罪や違法な取引などによる被害を防止することを目的として、
銀行や証券会社などを「特定事業者」と位置づけ、取引の際は氏名や住所、取引の目的、
法人の場合はその事業内容の確認を義務付けています。

つまり、事業内容等がしっかり確認できないと、バーチャルオフィスの住所で銀行口座が開設できないケースがあるのです。

この犯罪収益移転防止法が制定されて以来、バーチャルオフィスの住所で起業した人からの
「法人名義で口座開設できない」という声が多く見られるようになりました。

ただ実際には、本人の属性などにより事業内容や本人確認書類等をしっかり用意できれば、
銀行にもよりますが口座開設は可能です。
また、バーチャルオフィスではネットバンキングが主流になっており、振込手数料の安さなど使い勝手が評価されています。

ただ、仮に特殊詐欺等に銀行口座が使われたとしても銀行側から口座閉鎖することは基本出来無く、
法的措置等の手段を講じる必要があり大変難しいため、
口座開設の入口が厳しくなり、一般のバーチャルオフィスでの起業に支障が出ています。

「銀行から見るとバーチャルオフィスは怪しいもの」という誤解が広まったのも、
バーチャルオフィスの違法性が問われる要因になったと言えるでしょう。

 

最後の理由(3)は、バーチャルオフィスの安さ・借りやすさについてです。

コロナ禍でバーチャルオフィスの運営会社は増加しました。
コワーキングスペースの増加と兼用しているケースや、セカンドビジネスとして自社の事務所住所を貸し出すケースなど乱立しているのが実情です。

その結果、バーチャルオフィスの料金を安くし、申込から契約までの流れを簡素化し、審査を簡易的に行う運営会社が増えています。
安価な住所貸しには特殊詐欺等に住所が使われてしまい、ネットで住所が晒される等、何かしらの理由があります。

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信頼できるバーチャルオフィスを見分けるたった2つの方法

バーチャルオフィスを見分ける方法

バーチャルオフィス自体は違法なものではありません。
ただ、バーチャルオフィスの住所が過去に犯罪に使われていたとすれば、その住所は危険です。
ネットで晒されている可能性があり、銀行口座開設が難しくなる可能性や取引先、
顧客にバーチャルオフィスだと知られてしまう可能性があります。
会社のマイナスイメージとなり、ビジネスに多大な影響を与えます。

その反面、犯罪とは無縁と言えるような優良のバーチャルオフィスも多くあります。

では、利用者側の視点で見て、どのようなバーチャルオフィスなら安全と言えるのでしょうか。
最後に、信頼できるバーチャルオフィスを見分けるコツを2つご紹介します。

本人確認や審査を実施しているか

前述で解説した犯罪収益移転防止法の特定事業者の定義ですが、実はバーチャルオフィスも特定事業者に該当します。

住所貸しという特徴があるサービスになるので、犯罪の抑制という観点から
本人確認などによるチェックを厳格に国から求められているのです。
郵便物の転送先についても厳格に確認を求められています。転送先と契約者の関係など証明書類が必要になります。
その様な手順、説明が無いバーチャルオフィス運営会社は危ないです。

通常のバーチャルオフィスは、本人確認を必ず行います。
問い合わせて各種費用の支払いだけで即日利用ができるバーチャルオフィスは避けたほうがよいでしょう。

犯罪収益移転防止法の指導に従っていない、脱法的な運営を行っている可能性があります。

利用者と顔を合わせる機会があるか

審査や本人確認とは別に、対面での契約や事務所の内見を実施しているかどうかも重要です。

ネット社会ですから、申し込みから契約まで全てネットで完結することは珍しくありませんが、
少なくともバーチャルオフィスという特性上、一度は顔を合わせる機会があったほうがよいでしょう。
特に、あまりにも古いビルだとかバーチャルオフィスの運営実態が掴めないといったことは、
バーチャルオフィス運営会社自体が破綻するリスクの可能性があります。

内見などの対応が無いバーチャルオフィスは危険です。
また、HPなどでビルの外観やオフィス内の画像を出していないバーチャルオフィス運営会社は考えた方が良いと思います。
本店登記として住所貸しを利用する場合、HPや名刺等で住所を利用すると思います。
当然、新規に取引する会社や顧客はHPを見て会社を確認する可能性があります。
または、取引先等が近くに来たからと不意に来社する可能性もあります。

住所を公開するということは色々なことが想定されます。
古い雑居ビルで会社表示を見たら全く違う会社名があったら決まる取引も決まらないかも知れません。

契約前にはHPは当然ながら、必ずバーチャルオフィス運営会社を訪れて確認して見てください。

まとめ

今回解説させていただいたように、バーチャルオフィスの住所でビジネスをはじめることに違法性はありません。
ただ、それを悪用した詐欺事件が絶えないことから、
どうしてもバーチャルオフィスのイメージが悪くなってしまいがちなのです。
とはいえ、副業やネットショップなど、事務所を構えるほどでもないビジネスであれば
バーチャルオフィスにはメリットが多くあります。

また、バーチャルオフィス、住所貸しの運営会社は増えており、安価料金も多く見受けられます。
登記住所として利用する。HP、名刺等で利用するのであれば、一番気を付けたいのが運営会社の破綻、サービスの停止です。
運営会社のサービスの停止により、当然、登記を移転する。HP、名刺等の住所を変更するなど予期せぬコスト、労力、信用の低下など被害は甚大です。
よって、バーチャルオフィス、住所貸しを検討するのであれば、長年サービスを提供している安心出来る運営会社を選択する必要があると思います。

今回ご紹介したバーチャルオフィスの見分け方をご参考に、ぜひ優良なバーチャルオフィスを選んで利用してみてはいかがでしょうか。

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執筆者情報

株式会社アントレサポート 鈴木■

創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。
バーチャルオフィス・レンタルサロンなど、さまざまな事業展開をしている。