起業時にバーチャルオフィスで登記する際の注意点
起業時にどうするか迷うのがオフィス選びです。
最初は「固定費となる家賃の予算を抑えたい…」「信用力は大切なので一等地で企業活動をおこないたい…」と悩みは尽きません。
そんなときに、便利なのが「バーチャルオフィス」です。
オフィスに入居することなく、法人登記ができて企業活動をすることができます。しかも低料金で利用できるのが魅力です。
このページでは、バーチャルオフィスで登記する場合のメリット・デメリットや、口座開設のポイント、バーチャルオフィス会社の選び方などをご紹介します。
バーチャルオフィスってどんなオフィス?
近年の日本では働き方の多様化に伴い、オフィスの形態も多様化しています。
以下のように、自社の予算・人員・業態に合ったオフィスから選ぶことができます。
【代表的なオフィス形態】
●賃貸事務所:賃貸借契約を結ぶ一般的なオフィス。
●レンタルオフィス:執務用の専有スペースがあり、会議室等を複数社で共有するオフィス。
●シェアオフィス:専有スペースはなく、複数社で共有しながら利用者同士の交流も図れるオフィス。
●コワーキングスペース:専有スペースはなく、独立した仕事を行うフリーランスの利用が多いオフィス
●バーチャルオフィス:実際に入居することなく、住所や電話番号を借り受けるサービス。
賃貸事務所 | レンタルオフィス | シェアオフィス | コワーキング |
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中でも「バーチャルオフィス」は、事業をはじめるにあたって必要な基本情報である「住所」「電話番号」などを借りることができる便利なオフィスです。
自宅を執務スペースにする。知人事務所に間借りなどで作業スペースを確保している場合、バーチャルオフィスを利用することでレンタルオフィスよりもさらに安価に、都心の一等地の住所や電話番号を使用することが可能で、起業時には十分に企業活動をおこなえます。
ただし、行政への許認可などバーチャルオフィスでの登記が難しい業種もあるので利用には注意が必要です。詳しくは後ほどご説明します。
バーチャルオフィスで起業(登記)はできるのか
運営会社によってサービスの提供範囲は異なりますが、多くのバーチャルオフィスでは法人登記が可能です。
これからフリーランスをはじめる方、法人として起業を検討されている方は、気になるバーチャルオフィスを見つけたら、まずは事前に問い合わせをして登記ができるかどうかを確認してみましょう。
バーチャルオフィス登記は違法ではないの?
バーチャルオフィスとは、そのオフィスに専用スペースが無く、「住所や電話番号」を貸出しサービスであり、利用、公開することを認めています。ただし、その住所を物理的に利用する事は出来ません。
しかしながら、法人登記する際にバーチャルオフィスの住所を登録しても、違法にはなりません。法律上、「会社の住所は実際に作業をしている場所でなくてはならない」という決まりがないからです。
ただし、ビジネスを行う上では実態のあるオフィスが必要であり、行政や労働局からの認可も必要な業種の場合には、バーチャルオフィスでの登記が難しくなりますので注意が必要です。
具体的には、下記のような業種が挙げられます。
- ●職業紹介業
- ●人材派遣業
- ●税理士、弁護士、司法書士
- ●建設業
- ●古物商
- ●廃棄物処理業
- ●不動産業
- ●探偵業
このような業種は、行政の許可や管轄の警察署への届け出が必要で、専有スペースの平米数や面談用のスペース確保などの様々な条件が定められています。
「事務所としての営業の実態」を要求されるため、実際の作業スペースがないバーチャルオフィスでは開業が認められないケースが多いです。
レンタルオフィスでの許認可は可能です。業種によりオフィスの平米数の要件などございますので詳しくはお問い合わせください。
バーチャルオフィスに登記するメリット
バーチャルオフィスに登記するメリットとは何でしょうか。
一番のメリットは、格安で都心の一等地を自社の住所・連絡先として公表できる点です。
アパートやマンションのような個人の住所を載せるよりも顧客の信用を得やすいです。
また、自宅の住所を会社の住所として対外的に公表する必要はありませんので、プライバシーの安全面でも不安を感じることはなくなります。
バーチャルオフィスなら、負担の少ないコストで都心のオフィスを会社の住所として公表でき、何より事業主のプライバシーを守ることが可能です。さらには運営会社やプランによって、電話や郵便物の転送サービス、記帳代行など、さまざまなオプションサービスも受けることができます。
バーチャルオフィスに登記するデメリット
格安で都心の一等地の住所を利用できる便利なバーチャルオフィスですが、もちろんデメリットやリスクも存在します。
バーチャルオフィスであることばれてしまう可能性がある
お金を払えば住所を借りられるバーチャルオフィスは、当然ながら「お金を払って借りている他の複数の事業主や会社」と、オフィスの住所が被ってしまいます。
都心の一等地で登記し、顧客から信用を得ても、後でネットで検索されれば複数の会社や事業主がヒットします。
また、起業当初から都心の一等地ハイグレードビルは相手に不信感を与えます。身分相応のバーチャルオフィスから始めましょう。
住所を公開することで、ビジネスの取引先や顧客がバーチャルオフィスの住所に訪れることを想定した方が良いでしょう。雑居ビルの違う会社名が表示されているフロアに訪れるよりは、レンタルオフィスの住所方が実態を感じ得ます。レンタルオフィスによっては、起業看板を表示出来るところもあります。
バーチャルオフィスで登記する場合のリスク対策
会社の住所とは、会社のイメージそのものだといえます。思いがけない来客により相手の信頼を落としてしまわないように、バーチャルオフィスを利用する際には、あらかじめ対策を打っておくことが大切です。
例えば「電話代行や受付対応サービスがあるバーチャルオフィスを選ぶ」「入り口にはきちんと企業の看板を掲げておく」場合によっては、「取引先には事前にバーチャルオフィスであることを伝えておく」など、急に電話がかかってきたり、誰かがたずねてきたりしても不信感を抱かれないように、準備をしておきましょう。
また、最近では法人の銀行口座開設が非常に厳しくなってきています。起業時はネットバンキングの口座開設など事業の進捗に合わせ信金、地銀、メガバンクなどステップアップするのが良いと思います。
詳しくは「バーチャルオフィスで法人の銀行口座を開設するコツ」で説明をしますが、こういったケースであっても事前に対策を打っていれば、開設がスムーズにいくことが多くあります。
東京のバーチャルオフィスの料金相場
東京のバーチャルオフィスの料金相場は、月額数百円の激安な料金~数万円近くの高価な料金まで、幅広く存在しています。
バーチャルオフィスの運営会社によっては、登記用住所のレンタルや電話転送サービス、郵便転送サービスのほか、会議室の利用や、来客の対応をしてくれる秘書サービスまで提供しているところもあり、提供しているサービスによって料金が変わってきます。当然、提供しているサービスが多いほど料金は高くなります。
【バーチャルオフィスのオプションサービスの料金相場】
- ★住所貸し(登記用住所レンタル)サービスの料金相場:月額2,000円~10,000円
- ★電話代行(電話転送・電話秘書等)サービスの料金相場:月額1,000円~15,000円
- ★会議室利用を含む住所貸しサービスの料金相場:月額20,000円~50,000円
激安バーチャルオフィスの注意点
バーチャルオフィスの料金は低価格~高価格なところまでさまざまですが、事業をまだ始めたばかりの事業主にとって、料金はなるべく安く押さえたいものです。不動産や家賃相場が高い東京でも、なんと数百円という破格の月額料金で借りられるバーチャルオフィスもあります。
価格が安いことは借りる側の事業主にとって魅力的なことではありますが、激安のバーチャルオフィスには以下のような注意点もありますので、契約をする前に、よく確認をしたほうがよいでしょう。
- ●法人登記ができない
- ●電話転送、郵便転送サービスが受けられない。もしくは回数等に制限がある
- ●最低契約期間が長いor 解約金が高い
- ●雑居ビルの自社で使用している事務所の住所を貸し出している
- ●郵便報告、郵便転送のサービスが高額
特に法人登記の可否は、最も重要なポイントです。
せっかく都内の一等地に住所を借りられたのに、登記ができないのでは、そもそも法人として開業ができなくなってしまいます。個人事業主の場合には、今後法人へ移行する際には必ず登記が必要となりますので、登記ができないバーチャルオフィスは利用価値が低いと言えます。
バーチャルオフィス会社の比較のポイント
働き方が多様化した現代では、バーチャルオフィスもたくさんの運営会社が存在しています。
サービスの範囲も、住所貸し、電話番号貸し、郵便転送、登記などの基本的なサービス内容から、プラスで会議室、パーソナルデスク利用、秘書対応が含まれているサービスまでさまざまです。バーチャルオフィスを比較するポイントを見ていきましょう。
必要なオプションサービスを見極める
運営会社によって、提供しているサービスの種類・質もさまざまです。これから起業をする予定で、バーチャルオフィスを契約しようと考えている方は、ビジネスを新しくはじめるにあたって、サービスはどこまでが必要なのかを事前に想定して契約をしましょう。
また、サービスの種類だけでなく、質も重要です。
例えば、電話は「番号のレンタル」だけでなく、電話がかかってきた際に代わりに対応してくれる「電話代行」サービスを行っているバーチャルオフィスもあります。
「電話代行」は、顔が見えない分、電話の相手にとっては対応がとても重要です。
運営会社に電話問い合わせをしたり、実際にオフィスを見学に行ったりした際に、スタッフの対応を実際に見て質を見極めることも大切なポイントです。
他にも、起業、開業をする際には、登記だけでなく法人の銀行口座の開設も必要となりますが、最近では銀行口座の開設の審査が厳格化し、審査に落ちてしまうケースもあります。
バーチャルオフィスの運営会社によっては、起業にあたって、さまざまなサポートを行っている会社もあります。
例えば、経理サポート、ホームページ作成、銀行口座開設のサポートなどがあります。
起業手続きに不安のある方は、そのようなサポートも事前に確認してみることをおすすめします。
バーチャルオフィスで法人の銀行口座を開設するコツ
バーチャルオフィスであっても、法人の銀行口座開設はもちろん可能です。しかし、先の文章でお伝えしたとおり、最近では法人の銀行口座開設の審査が厳しくなっており、場合によっては口座開設が厳しくなってしまうことがあります。
こういった背景は、振り込め詐欺などに使用する架空口座開設を狙う犯罪者がおり、過去に、実際にバーチャルオフィスを犯罪に利用された事件があったためで、そういった犯罪を防ぐために銀行は必要書類や厳格な本人確認、事業実態の確認を求めてきます。
銀行口座の開設のコツは、まず口座開設を考えている銀行がどのような銀行か(都市銀行、地方銀行、ネットバンク)によって変わってきます。
都市銀行などのメガバンクは一般的に、口座開設の審査は厳しくなりますが、オフィスを確認されることはほとんどありません。代表者の属性、事業内容で判断されます。バーチャルオフィスと申込書に記入しても口座開設に成功している方は多いです。
一方で、地方銀行や信金、信組は事業実態の確認を兼ねて営業マンがオフィスを訪問するところが多いです。実際の執務スペースや看板などを確認します。地方銀行、信金、信組での口座開設は難しそうです。
ネットバンキング、郵貯銀行はオフィスを訪問することはありません。比較的容易に口座が開設出来ます。GMOあおぞらネット銀行はバーチャルオフィスでの口座開設も可能です。最短、ネットから申込を行い当時に口座開設が出来ます。
いずれの場合も、まずは自身が個人で口座開設をしている銀行に相談するのが良いでしょう。
審査で必要となる書類を揃えておくことは基本条件です。基本的には次のような書類です。
●事業計画書
●履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
●会社パンフレット(または会社ホームページ)
また、法人の銀行口座開設のためには必ず自宅以外の電話番号が必要になりますので、バーチャルオフィスで開業する際には、固定電話の番号を借りておくことも絶対条件です。
安心して登記できるバーチャルオフィスサービス会社とは
バーチャルオフィス選びで大切なのは、事業計画にマッチしたサービス会社を選択することです。東京の一等地である渋谷・四ツ谷の住所を利用できるバーチャルオフィス「アントレサポート」は、これから事業をはじめる方には最適です。
数千円~の電話番号貸しのみの格安プランから、住所貸し・電話番号貸し・来客対応・会議室利用・経理サポートなど、事業主の計画に合わせた、さまざまなプランをご用意しています。郵便報告、郵便転送費用が無料と追加費用が掛からないので安心してご利用頂けます。
バーチャルオフィスでの口座開設実績も多数あります。
アントレサポートの法人登記用の住所貸しサービスなら、郵便物管理・受付スタッフ常駐(※渋谷のみ)が無料で付いてきます。
他にも、以下サービスがご提供可能です。
- ・社名プレート表示
- ・電話、FAX番号貸し
- ・電話秘書
- ・会議室利用
- ・登記代行
- ・ビザ取得代行
- ・経理サポート
- ・社会保険、給与計算サポート
レンタルオフィス運営会社でもある強みを活かし、実際にオフィスも併設しているため、バーチャルオフィスと感じさせない工夫がされているのも大きな特徴です。突然の来客があっても、相手に大きな不信感を与えにくいため安心です。
バーチャルオフィスをお探しなら、お気軽にご相談ください。
執筆者情報
■株式会社アントレサポート 鈴木■
創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。 |
執筆日:2018年11月14日