バーチャルオフィスだと
社会保険に「加入できない」と誤解される理由とは?
「バーチャルオフィスで起業して、社会保険に加入できるのか?」
答えは「バーチャルオフィスで起業しても社会保険には加入できます」
一般的に伝えられている内容には誤解が多く、また根拠のない話も少なくありません。
ですが、社会保険自体”強制加入”の制度であるため、手続きさえ踏めば問題なく加入でき、義務なのです。
ではなぜ、「バーチャルオフィスでは社会保険に加入できない」と言われているのでしょうか。
バーチャルオフィスと社会保険の加入是非について、この記事で詳しく解説します。
”バーチャルオフィスでの起業は社会保険に加入できない”説
一般的に、バーチャルオフィスで起業すると社会保険に加入できないと言われています。
主な理由は2つあります。
【理由1】賃貸借契約書を求められる
バーチャルオフィスは会社設立時の登記も可能な住所をレンタルできるサービスです。
ただ一般的な情報を見る限り、バーチャルオフィスは賃貸借契約を結ばないため社会保険の加入申請ができないとされています。
【理由2】重要書類の保管場所があるか確認される
事業者は、帳簿や財務諸表、定款などあらゆる書類の保管が法律上の義務です。
しかしバーチャルオフィスは住所をレンタルするサービスのため、実際の事務所はありません。
「年金事務所で書類を保管する場所を聞かれた時に明示できない」と理由も、社会保険に加入できない理由とされています。
【社会保険加入の事業主に求められる「資料保管」の義務と根拠
ここまでにバーチャルオフィスの住所では社会保険に加入できないと言われる理由をご覧いただきましたが、
以下のことから、実はあまり根拠のない話と言えます。
- ●年金事務所が、書類の保管場所や賃貸借契約について聞かない
- ●厚生年金、社会保険の加入に際し、事務所の基準は無い
- ●「社会保険は強制加入」であるのに対し、「バーチャルオフィスでは加入できない」では矛盾がある
- ●そもそも法人登記できるバーチャルオフィスで社会保険に加入できないという矛盾も生まれる
- ●クラウドサービスに電子定款や各種書類を保管する方法も認められてきているため
「年金事務所の意向による」というところが大きく、必ずしも書類の保管場所を聞かれるわけではありません。
また事業を行う場所と登記の場所が同じなら、基本的に賃貸借契約書も不要であり、法人の事務所についての基準もありません。
年金事務所により対応が違うのは事実ですが、強制加入の制度なのに加入させないというのも矛盾が生じます。
また昨今は、書類を必ずしも紙媒体で保管しなければならないという風潮も変化してきました。
国税庁の「電子帳簿保存法取扱通達」では、以下の解釈が示されている状況です。
“保存場所の電子計算機と電磁的記録を作成する電子計算機とが通信回線で接続されているなどにより、保存場所において電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、それぞれの要件に従った状態で、速やかに出力することができるときには、特段の弊害もないことから、当該電磁的記録は保存場所に保存等をされているものとして取り扱う”
つまり「バーチャルオフィスの住所では社会保険に加入できない」とするのは大きな誤解と言えるのです。
社会保険に対するバーチャルオフィス側の対応
ここまでお読みいただき、「では実際のところはどうか?」というのが気になるかと思います。
実はバーチャルオフィス運営会社側も、誤った情報が広まっていることに苦慮しているケースが散見されます。
そのため弊社のように、「誤解である」と自社HPで伝えている会社もあるのが現状です。
そこで一つの事例として、「社会保険の加入をサポートするバーチャルオフィスサービス」をご紹介します。
バーチャルオフィスを運営する「アントレサポート」では、様々なサービスを提供しています。
その中の一つが「社会保険労務士による社会保険・給与計算代行サービス」です。
労務管理の相談や給与計算の業務、そして社会保険の手続きを代行するサービスまで行っています。
【社会保険ベーシックプラン】
- ●社員の雇用保険や厚生年金被保険者資格取得・喪失の手続き
- ●社会保険、労働保険にかかわる保険給付手続き
- ●労務管理に関する相談
- ●その他事業にかかわる諸手続き
【給与計算ベーシックプラン】
- ●月次給与計算
- ●給与明細、賃金台帳の作成
- ●給与明細書の納品
上記以外の内容にも柔軟に対応しており、もちろん社会保険の加入手続きの依頼も可能です。
また社会保険事務所から書類の保管場所を確認されたとしても、社会保険労務士事務所にて保管をしているため問題ありません。
結果、「バーチャルオフィスでは社会保険に加入できない」という説は、
大きな誤解であることは明白と言えるでしょう。
バーチャルオフィスでの起業で社会保険に加入する注意点
「バーチャルオフィスでは社会保険に加入できない」という話は誤解でした。
ですが、注意点がないわけではありません。
- ●そもそも書類の保管場所が必要ないということではない
- ●クラウドサービスなどを利用して書類を保管するなら「ディスプレイや書類に直ちに出力できる」が条件
- ●バーチャルオフィスは賃貸契約書がないため、申込書や契約書等は失くさずに保管する
先述の電子帳簿保存法取扱通達では、電子的な書類保管は認めるが、すぐに確認できる状態にすべきとされています。
よって、いざ社会保険事務所や税務署から尋ねられたとしても、明確に答えられるよう準備しておくべきでしょう。
また社会保険事務所から賃貸契約書を求められたとしても、
バーチャルオフィスの申込書や契約書の提示で手続きできたという事例もいくつか報告されています。
実体のない事業を行うということでもない限り、「バーチャルオフィスで起業」というビジネスモデルでも社会保険には加入できるのです。
では改めて、ここまでの内容を一旦まとめておきましょう。
- ●社会保険事務所は必ずしも賃貸借契約書や書類の保管場所について確認しない
- ●社会保険は強制加入であるのに対し、加入を拒否するのでは矛盾が生じる
- ●電子定款や各種書類をパソコンやクラウドに保管する方法も認められている
- ●「アントレサポート」では社会保険加入の手続きを依頼できる
アントレサポートは初めて起業する方をサポートするサービスが充実しています。
社会保険への加入代行の他にも、経理代行や登記代行など様々なサービスをご用意!
是非ご活用くださいませ!
執筆者情報
■株式会社アントレサポート 鈴木■
創立23年のレンタルオフィスの会社を経営。 |
執筆日:2020年6月1日